text by mizuiro
edit by GAMEZINE
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2016年12月からゲーミングハウスで共同生活をしながら活動を始めたオーバーウォッチのプロチーム『Unsold Stuff Gaming(以下、USGと称す) Iridata』にゲーミングハウスの生活・ゲームプレイなど、気になるゲーミングハウス事情を聴いてきました。
オーバーウォッチのプロチーム『USG Iridata』のゲーミングハウス訪問
都内某所からバスを乗り継いで到着したのはオーバーウォッチのプロチーム『USG Iridata』のメンバーが住む3階建てのマンション。
彼らはここの最上階に住んでいます。
到着すると早速Novady選手が出迎えてくれました。
到着したのは夕飯より少し前だったためか、炊飯器が2台動いていました。炊いたご飯は冷凍用でもあるとのこと。
インタビュー中に炊きたてのご飯の匂いが室内を覆っていました。炊けたご飯をチームメイトたちが素早くラップで包んでいます。ここでも笑いが絶えない凄く仲の良いチームであるという印象を覚えました。
現在生活をしているのは以下の6人の選手たちです。
ゲーミングハウスに住むUSG Iridata メンバー
USG Iridata の主な成績・遍歴
- 2016年7月 USG Iridata結成
- 2016年7月 Overwatch Championship Series group 予選 優勝
- 2016年7月 Overwatch Championship Series final 準優勝
- 2016年10月 APAC premier 招待出場
- 2016年11月 東京ヴェルディにレンタル移籍し、日本eスポーツリーグに参戦
- 2016年12月 JCG Master 2016 #07 優勝、JCG Master 2016-2017 Winter Finals プレーオフへの出場権獲得
- 2016年12月 ゲーミングハウス入居
- 2016年12月日本eスポーツリーグ 予選突破
チームリーダー:Vader選手へのインタビュー
――ゲーミングハウスではどのような生活を行っていますか?
海外のプロチームは6時間から10時間くらい練習をすると聞いて、それを参考に練習メニューを決めました。
このタイミングでのゲーミングハウス入居は、世界のプロチームの中では後発なので8時間から10時間は練習しないといけないと思い、練習時間を多めにしています。
ゲーミングハウスでの基本的な生活
時間 | 項目 |
10:00 | 起床 |
10:30~11:30 | 運動 |
11:30~12:30 | オーバーウォッチ and 昼食作り |
12:30~13:30 | 昼食 |
13:30~14:00 | お昼寝 |
14:00~18:00 | オーバーウォッチ(ソロ or デュオ) |
18:00~19:00 | 夕食 |
19:00~20:30 | チーム配信 |
20:30~21:00 | 休憩 |
21:00~02:00 | オーバーウォッチ(チーム活動) |
~04:00 | 就寝 |
12月16日から入居しているのですが、おおよそ一週間ぐらいは机や椅子を購入したり、生活用品全てをすべてを購入する時間になってしまいました。
実際にまともな練習メニューをこなし始めたのは、12月末になりましたね。
世の中が年末年始になったこともあり、練習量としてはまだ他のチームと大して変わらないかもしれません。
――食事の当番は決まっていますか?
当番は決まってはいませんが、一人暮らし経験者のSparkyが基本的な献立を考えます。
それを料理未経験の選手たちと共に作っています。
簡単なものが多くて、ごはんと何かあれば良いだろうっていうくらいですね。
――面倒になり、買って食べてしまいそうですが・・・
財政状況に余裕がある生活ではなく、作ったほうが安いので(笑)
――ゲーミングハウスの掃除はどうしていますか?
一週間に一回掃除をしています。
6人で生活しているのでリビング・廊下・ゲーム用のデスク・キッチン・トイレ・洗面台などは一週間に一度は掃除しないとすぐに汚れてしまいますね。
――個人の部屋は?
個人の部屋は完全自由にしていますね。
もちろん、ごみ屋敷みたいになったら流石に強制的に綺麗にさせますが(笑)
――ゲーミングハウスでの生活はどうですか?
ゲーム面についてですが、「効果はある」 と感じています。
スクリム(練習試合)の時に全員がゲーム画面を録画しています。
その録画を観て「あ、そういう風になっているのか」 ということをすぐに共有することができ、次に向けての対策が立てやすくなりました。
また、お互いチームメイトであり、ゲーム内ではライバルでもあるというか。
これだけのお金がかかっている生活をしていますし、妥協できない環境なので、お互いが怠けている姿は見せられません。
今日ちょっと起きてダルいとか、そういうことはできないですし、そういうことを続けているプレイヤーは共同生活も続けられなく、本当の意味でのプロゲーマーにはなれないと思っています。
――ゲーミングハウスに入ってスクリムの成績は変わってきていますか?
ゲーミングハウスに入居する前からチームとして「メタに対応しきれていない」という課題がありました。
フルタイムでの活動により、海外プロチームの試合を見る時間が増えたので、チームで「これが来たらこうした方が良い」というのを決めたんですよ。
それが煮詰まってきていたというのもありますし、ゲーミングハウスに住むことにより個人のプレイ時間が伸びていることもあり、成績はかなり良くなってきています。
――この後行われる大会の結果にも期待できそうですね。
『JCG Master 2016-2017 Winter Finals』は優勝したいですが、本当にわからないですね。
RPG-KINGDOMとか、SunSister Arancione、DETONATOR5、DetonatioN Gaming、Green Leavesは本当に強敵ですが、勝ちも負けもあるといった差だと思っています。
まだまだ私たちの生活も始まったばかりですので、本当に「これから」ですね。
――ゲーミングハウスに住み、フルタイムでの活動は、仕事や学校に行きながらゲームをしているチームと比較してどのような所に差があると思いますか?
元々私たちも仕事をしながらプレイしていたのですが、集合時間は22時で遅くても25時くらいまでしか活動できませんでした。
尚且つ、次の日仕事があるので個人練習も全然できないですし、海外プロチームの大会も観ることもできませんでした。
ゲーミングハウスに入居することを考え、11月に仕事を辞めてからは時間ができ、海外プロチームの試合なども観ることができる様になりました。
なので戦術・構成など、そういった話ができる様になりました。
ゲーミングハウスに住みフルタイムで活動することとの差は”時間”だと思っています。
――仕事を辞めるにあたって問題など、発生しませんでしたか?
特に大きな問題はありませんでした。
11月に中国で行われた大会『APAC Premier』に出場した時から仕事を辞めたいと会社には伝えていたのですが、代わりが見つからずすぐには辞めることができませんでした。
しかし、会社からは有給を使って出場して良いと言われたので、有給を全部使って出ましたね(笑)
そして月末まで働いて退職しました。
他のメンバーはチームでゲーミングハウスがどうにか頑張ればできそうとのことで『APAC Premier』の前に退職しています。
――オーバーウォッチにかける想いに熱量を感じますね。
『APAC Premier』に出場できたことが自信に繋がったと思いますね。
負けはしましたが、対戦相手はフルタイムで活動しているチームでしたが、時間が無い我々のチームで惜しいくらいまでの結果になったと思いました。
「これならフルタイムで活動すればやれるな」という自信に繋がりました。
『APAC Premier』は本当に良い経験になりました。
――オーバーウォッチリーグを見据えての活動なのですか?
オーバーウォッチリーグは概要しか出ていないので・・・でも、そこに関しては夢がありますよね。
しかし、現状日本の優先度は低いと思っているので、いつ頃始まるかわかりません。
私が辞めた後に始まってもしょうがないのかなとも思っています。
私がゲーミングハウス生活で得たものというものは次に入ってきた選手にも引き継げるものと思っているので、今から始めて知識だけでも付けておくのもいいのかなと思っています。
――引退みたいな話が出ていますが・・・!
年齢が年齢なので・・・(笑)
――少しお話を変えて、東京ヴェルディへのレンタル移籍についてお聞きしていきます。
――東京ヴェルディのことを知らない人は少ないと思うのですが、レンタル移籍となって、変ったことはありましたか?
僕自身は東京ヴェルディに所属できたという経歴はとても良いことだと思っています。
周りに話す時にすでに知っているチーム名を出せるということは、本当にありがたいと思っています。
――気持ちの面で変わったことはありますか?
サッカーで有名な「東京ヴェルディ」。知名度が高いチームが日本eスポーツリーグに参入してきて、尚且つ我々を選んでくれたというところで「必ず勝たなければならない」というプレッシャーはありますね。
オーバーウォッチ部門のみの結果を観れば全ての試合「3-0」で勝利することができました。
「攻め切れるか、攻め切れないか」というシーンがあったんですが、凄く意識しましたね。やはり、東京ヴェルディとして出ているからには全て「3-0」で終わらせたいと強く思いました。
――『日本eスポーツリーグ 2016 winter オフライン決勝』の対戦相手「CYCLOPS OSAKA athlete gaming」にはどのような印象がありますか?
彼らも始まったばかりで、我々と同じく、今から伸びてくるチームだと思っています。
また、彼らはリザーブを抱えていますし、チーム内競争率が高く、ストイックな印象があります。
――『日本eスポーツリーグ 2016 winter オフライン決勝』に向けて意気込みをお願いします。
「日本eスポーツリーグ」は、オフライン決勝の会場が「東京アニメ・声優専門学校」です。「東京アニメ・声優専門学校」は東京ヴェルディのスポンサーであるため、オフラインで集まる必要があった日本eスポーツリーグのリーグ戦で我々は「東京アニメ・声優専門学校」に集まってプレイし、決勝進出を決めました。
そういった意味でホーム戦なので絶対に勝たなくてはいけないという意識があります。
秘策や奇策ではなく、いつも通り「このマップなら、こういう構成でこうやって勝つ。」という方法で勝ちに行きます。
――最後に今後の抱負をお願いします。
我々の最終目標は「世界のメジャーな大会で優勝する」ということなんですが、現状そんなことを言っていると笑われてしまうので、
現状では
「日本1位になり、継続すること。」
「オーバーウォッチで日本代表を作るならこのチームと呼ばれること。」
「世界大会に挑戦していき、良い成績を残すこと。」
ですね。
今年から本格的にゲーミングハウスでの生活が始まったのですが、今年が勝負です。
次ページでは、Aktm選手、Novady選手、Sparky選手、Defuse選手、bata選手に生活の内容を聞いた内容を掲載しています。