text by hane
edit by GAMEZINE
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『オーバーウォッチ ワールドカップ2026』の日本代表ゼネラルマネージャーに就任したハワード氏。
選手・コーチとして世界トップレベルを経験し、現在はプロeスポーツチームVARRELのゼネラルマネージャーを務める彼が、なぜ今、日本代表のゼネラルマネージャーに立候補したのか。3年ぶりとなる『オーバーウォッチ ワールドカップ』について、そして『オーバーウォッチ』日本シーンの未来について話を伺った。
――まずは、ハワードさんのこれまでの経歴と活動について教えてください。
元々は『レインボーシックス シージ』というタイトルで、韓国ではなく日本を拠点にeスポーツ業界での活動をスタートさせました。その後、韓国のSK Telecom T1(現:T1)で選手とコーチを経験し、引退後は世界最大級のeスポーツ運営組織であるESL FACEIT Groupに勤務しました。
現在はご縁があって、VARRELで『オーバーウォッチ』『VALORANT』部門のゼネラルマネージャー(以下、GM)を務めています。業界に入って、今年で14年目くらいになりますね。
――14年のキャリアを持つハワードさんが、今回『オーバーウォッチ ワールドカップ2026』の日本代表GMに立候補された理由を伺えますでしょうか。
『オーバーウォッチ』に関しては、日本国内で1位を獲っているチームであっても、世界大会では他国の1位チームより下のトーナメントから戦う必要があり、日本の実力が他国から正当に評価されていないと感じることが多かったんです。それがすごく悲しくて、悔しかったんですよね。
そこで私がこれまで日本国内外で培ってきた経験を活用して、「日本は他の国よりもっとできるんだ」ということを世界中に示したいという想いから、今回GMへの立候補を決めました。
――日本代表GMに選出された今、率直な心境をお聞かせください。
期待と楽しみな気持ちがあります。その一方で、日本の『オーバーウォッチ』を活性化させるための具体的な施策や選手たちが大会に集中できる環境づくりなど、ゲーム外のことを色々考えています。
――そのようなチームのサポートが、GMとしての主な役割になるのでしょうか?
そうですね。私は「選手」と「競技委員会」、「Blizzard Entertainment」のそれぞれの立場を尊重しつつ、うまく緩衝材となることが役割です。
『オーバーウォッチ』日本代表選手が不自由なく、大会だけに集中できる環境を作ります。
――ハワードさんが考える「理想のGM像」を教えてください。
数年後、別の場所で当時の選手やコーチと再会したとき、笑顔で思い出を語り合える。そんな関係性を築けるGMが理想です。
代表活動が終わったときに、全員が「本当に良いチームだった」「楽しかった」と心から言いたいですね。
――前回大会では当時のVARRELのメンバーが主体となって構成されていました。今回も「VARRELの選手が中心になるのでは?」という声もありますが、選手選考についてはどのようにお考えですか?
そこは一番悩んでいる部分です。VARRELのGMとしては、自チームの選手が評価されるのは嬉しいことなんですが、日本代表のGMとしては、「日本の『オーバーウォッチ』シーン全体の活性化」を目標にしているので、特定のチームの選手に偏ってしまう状況を、素直に喜べないんですよね。
今回、VARRELの選手も含めてトライアウトを行いますが、一つはっきり言えるのは「VARRELだから加点する」ことは絶対にしません。
――日本国籍を持ち、海外地域で活躍する選手を採用する可能性はありますか?
もちろんです。海外地域で活動していても大会ルールに反しないのであれば、日本代表に選ばれる可能性はあります。
日本の『オーバーウォッチ』を活性化させ、勝ち上がるために必要な選択は何でもやりたいと思っています。
――前回の『オーバーウォッチ ワールドカップ』は、本戦で9-12位という結果(※注1)でした。今回の目標を教えてください。
最大の目標は「優勝」です。
ただ、『BlizzCon 2026』に出場できるのはわずか8チームですので、まずは最低ラインとして「TOP8」への進出を必達目標に掲げています。
注1 前回大会『オーバーウォッチ ワールドカップ2023』ではAsia-Pacfic Group Aを韓国に続いて2位通過、アメリカで行われた本戦Group Dではフランスには勝利したものの、サウジアラビア、アメリカに敗れ、9-12thという結果だった。
――TOP8へ進出するために、今大会で特に警戒している国を教えてください。
オンライン予選では数多くの優勝経験を誇る韓国を警戒しています。グループステージではその韓国を倒し始めているサウジアラビア、そして本場のアメリカ。この3カ国はやはり注視しています。
――その堅固な3カ国の壁を崩すには、アップデートによる「環境の変化」を味方につける必要もありそうです。今年は新ヒーローの追加も多いですが、こうした変化への適応力は、日本代表にとってどれほど重要だと考えていますか?
日本代表に限らず、どの国にとっても変化に追いつくことが一番重要になると思います。新しいシステムやヒーローをいち早く習得して活用できるチームは生き残るし、逆に変化に耐えられず倒れていくチームも出るでしょうね。
――「変化への適応」が必要な一方で、古いメタであっても自分たちの「強み」を押し進めるチームも出てくると思います。ハワードさんは、最終的にどちらが勝利に近いと考えていますか?
構成やメタにもよるとは思いますが、私は「研究の深さ」が勝敗を分けると考えています。
例えばシンメトラは、以前はそれほど使われていないヒーローでしたが、研究が進んだことで最近また注目を集めています。今は「このヒーローは弱い」と思われていても、研究次第でいきなり強力な武器になる可能性はどこにでもあるんです。そういった可能性をどう見極め、どう研究して自分たちのものにするか。そこにこそ、チームの真の能力が発揮されるのだと思っています。
――では今回の『オーバーウォッチ ワールドカップ2026』の意気込みを教えてください。
「そこで待ってろ、日本が行くぞ」と伝えたいです!
――その挑戦を共に見届ける日本のファンへ、最後にメッセージをお願いします。
3年ぶりの『オーバーウォッチ ワールドカップ』ということで、期待とともに不安を感じている方もいるかもしれません。
ですが、私たちは後悔のない戦いを全力で見せたいと思っています。日本の『オーバーウォッチ』の力を世界に見せつけます。
皆様の応援、よろしくお願いいたします!そして、これからも『オーバーウォッチ』を一緒に盛り上げましょう!
ハワード Profile
『オーバーウォッチ ワールドカップ2026』日本代表のゼネラルマネージャー。韓国出身。
現在、VARRELで『オーバーウォッチ』『VALORANT』部門のゼネラルマネージャーとしてチーム運営全般を統括している。
過去にはSKT CS T1やEFGなどのesports業界で活動。
競技と運営の両面を知るその経験が、日本代表の挑戦をどう導くのか注目される。
