text by Hiragi
edit by GAMEZINE
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近年、注目度が増すeスポーツ業界。しかし、その実態やキャリアパスは未だ不透明な部分も多い。
『GAMEZINE Vol.33』では「eスポーツ職業案内」として、第一線のプロたちが語る「eスポーツを仕事にする」ことのリアルに迫った。
本記事では、誌面で掲載しきれなかった内容を加えた拡大版インタビューをお届け。
AplusX Japan株式会社(以下、AplusX Japan)で執行役員/マーケティングゼネラルマネージャーを務める西田さんの経歴を振り返りながら、製品を制作する上で大切にしている事や、AplusX Japanで求められる経験や姿勢についてお話を伺った。
――Pulsarの日本支社であるAplusX Japanは、どのような事業を行っているのでしょうか?
主にPulsar製品を日本で売る小売り事業や、日本でより製品を買ってもらえるようにプロモーションマーケティングを行っています。本社から指示された内容を行うことがあれば、日本独自で行うものもあります。国内製品の企画は日本独自のものが多いです。
――日本独自の企画は具体的にどのようなものがありますか?
過去に実施したコラボだと、「ES2 Dep Edition」や「#FR2 Edition」などがあります。他には、「ぶいすぽっ!」さんとのコラボ企画であったり、AMICISさんとの企画で「葬送のフリーレン」や「Superglide Glass Mousepad V2」のコラボマウスパッドも日本側が主導してやっています。
――プロゲーマーからアニメ、VTuberと幅広く網羅されているのですね。
そうですね。デバイスメーカーとしては珍しく、日本側にコラボに関する権限があるのが特徴です。また、日本オリジナルの商品の開発なども実施しています。
――人気コンテンツのコラボデバイスというのは、すごくうれしいですよね。次に、西田さんが現在所属されている部署や、具体的なお仕事の内容について教えていただきたいです。
今はマーケティングのゼネラルマネージャーをしています。業務内容に関しては、日本支社の業務を全部やっているので、これっていうのがなくて、語るのが難しいんですよね(笑)。マーケティングって何するんですかね?と自分で疑問に思うくらい何でもやります。私のマーケターという仕事は、スタートから終了まで全てを考えられる人だと思っています。メインが販売にあるだけで、物を知らなきゃ売れない、マーケットを知らなきゃ売れない、顧客を知らなきゃ売れない、といったところがあるため、「売るために何でもする」というのがマーケティングの仕事なのかなと思っています。
本社側の商品企画には携わっていないことも多いのですが、「Super grip Grip Tape」というグリップテープなどは、私が企画した商品だったりもします。ですので、本当に全部、という感じです。
――何をしているか分からなくなるくらい多くの業務に携わられている中で、特に思い出に残っているお仕事はありますか?
ZETA DIVISIONのDepさんとコラボして「ES2 Dep Edition」を開発・販売したことですね。元々「日本のプロの好みに合わせたデバイスを作ったらどうなるんだろう」と考えていた中で始まった企画でした。商品の企画やオファー、条件の調整、契約書、本人とのすりあわせなどから売り切るところまでを全部やりましたね。Pulsarに入社して以来、やりたかったことを一番最初にしっかりと形にできたかなと思います。
――選手のためのデバイス、すごく好きです。将来、F1みたいにその選手に合わせてデバイスが出てくる時代が来るんじゃないかなって思います。
僕もそう思います。高いパフォーマンスを出すために、その選手専用のデバイスを作るべきであって、会社の利益が先じゃないと思うんですよね。選手のために作ったものを、ファンの方に「この選手と同じデバイスはどうですか?」と言って届けるのが、一番ベースにあって然るべきだと思います。
――会社ではなく、選手ファーストで製品を作る姿勢がとてもいいですね。AplusX Japanではどのような方が働かれているのでしょうか?
実は、ゲーマーはほとんどいません。うちのスタッフに関しては一般公募で入社されている方が大半なので、前職で何をされていたかは正直分かりません。
――一般公募から入社されている方が多いということでしたが、西田さんご自身はどのような経緯で現在の会社に入社されたのでしょうか?
最初は韓国にある生地から衣服を製造するような繊維の会社で6年、7年ほど働いていました。そこから国内の革製品などを扱っているECの会社を1年経験し、その後、社長にスカウトされ、Pulsarに入社しました。
――社長とは入社前からもともとお知り合いだったのでしょうか?
そうですね。元々大阪で仕事をしていたのですが、ある日「仕事をやめて、田舎に行こう」と決意し、実際に田舎に住みました。しばらく田舎のECの会社で働いていたときに、社長から声をかけられました。その半年後ぐらいですかね、田舎の山奥で肉を食べながら話をして、入社が決まりました(笑)。
――なかなか珍しい出会いですね。ご自身では、どのような点がマッチして入社できたと思いますか?
繋がりのきっかけは元々やっていたデバイスレビューなどの活動だったのですが、入社した理由としては、元々持っていたスキルが合致していたのかなと思います。Pulsarはマーケターが欲しい、そして業務全体を丸っとやれる「全部できるやつ」が欲しいと考えていて、自分が丁度マッチしたのかなと。
ただ、出会いのきっかけはデバイスのレビューなどの活動だったので、どちらか片方がなければ出会えなかったし、今の仕事はできていなかったと思います。
――現職に入社される前から、デバイスに詳しかったのですね。ちなみに、前職やデバイスレビューなどの経験は、現在も活きているのでしょうか?
かなり活きています。例えば、繊維の会社では、布を年間数千種類は触るのですが、それがマウスパッドを触る上で役立っています。また、元々趣味でマウスなどを扱っていたり、ECの会社に勤めていたりしたので、物流のマーケットが読めるという点や、マーケティングに関しても、既存のデバイスメーカーがあまりやらないような取り組みの発想があるかとは思います。
あとは、キャリアとは別にマーケティングの支援などをお手伝いでやっているので、その経験も役に立っているかと思います。需要の予測ができたり、そのマーケットの調査ができるかどうかというのは、非常にどこの業界においても大事だと考えています。
――どのような経験が活きてくるかわかりませんね。
そうですね。やはり物作りをしていますと、ロット(生産単位)といった概念があるので、そういった点もベースで話をする上で役立つかと思います。
――そのほかに、働くうえで重要なことはありますか?
仕事に自我を入れないというところが実は重要で、だからこそゲーマーを雇っているというよりは、ビジネスマンを雇っているのかなと。日本支社は特にそういうイメージですね。自我があっても良いとは思うのですが、スタートから自我が強い人間を実績がない状態で採用するのは非常に難しいです。また、基本的には本社から来るプロダクトを売る仕事なので、自我で文句を言っていても仕方がない、という話にもなってしまいます。ですので、自我を持っていても良いのですが、俯瞰した視点から物を見られる力は非常に大事だと考えています。
――自我を入れないというのは仕事の大前提だなと、私も常々感じます。Pulsarで働いてきた中で、新しいスキルが身についたと感じたことはありましたか?
スキルかどうかはわからないですけど、自分の一番近くにいるのが社長なので、会社を大きくしていくときのスピード感は、かなり学びとしてはあったかなと思います。
――今Pulsarに入社された方は西田さんと同じような働き方ができるのでしょうか?
結論、できると思うのですが、ハードルはあると考えています。うちの社長が答えるのであれば「できます」と言うでしょう。社長の目線ですし、私という前例があるのでそう言うと思いますが、現場のスタッフに聞くと、本社社長と直で仕事ができるかと言われたら、難色を示すと思います。人によっては関わりがないスタッフもいますし、私のようなポジションの人間からしたら関わりがある、というところがあったりします。もちろん私と同じような働き方はできると思いますが、能力やコミュニケーション能力、そして実績も必要になってくると思います。簡単ではないかもしれません。
――いろいろ伴ってないと難しいですよね。ちなみに、入社までに身に着けておいたほうが良いスキルはありますか?
私は日本語しか話せないのですが、これからPulsarを目指すという人がいるのであれば、英語は必ず話せた方が良いと声を大にして言いたいです。あわよくば韓国語も話せた方がいいと思います。話せなくても最低限、読めるとかチャットでやり取りできるとか。私はそれができないので、その分コミュニケーションや、やりたいことに対する時間的なロスが非常に大きいと感じています。チャットでのやり取りであれば、AIなどのツールを使えば困ることはないと思いますが、本当にここでやっていきたいのであれば、話せた方が非常に良いと思います。
――英語はどの職業でも外せないスキルですよね。最後に、Pulsarで働きたい人に向けてアドバイスをお願いします。
もしやりたいことがあれば、考えるだけじゃなくて、実際に行動すると良いのかなって思ってます。
――「実際に行動する」って勇気は要りますが、大事ですよね。一歩踏み出したい人は、具体的にはどんなことができると思いますか?
「製品開発に携わりたい」という理由でうちを目指す若い人がダントツで多いのですが、自分の考えを持っているだけなら誰でもできるんですよね。大事なのは、そこから何かを形にしてみることです。例えば、自分なりの仮説を持って3Dプリンターでマウスを造ってみる、といったことですね。そうやって実際に行動している人は、うちの会社でかなり重宝されるんじゃないかなと思います。あとは、本社の面接でTシャツに「I love Pulsar」と書いてきた人が採用された、という前例もあったりします(笑)。そういう小さいことでも良いので、まずは何か行動を起こしてから応募してほしいと思います。
プロフィール
AplusX Japan株式会社でマーケティングゼネラルマネージャーを務める。大阪府出身の31歳。好きなゲームは『League of Legends』で、最近はリーシンにはまっている。新卒で韓国のアパレル会社に約7年働いた後転職し、日本の革製品を扱うECの会社を経て現職に。また、前職の傍ら、Xやブログなどでデバイスレビューも行っていた。
会社情報
AplusX Japan株式会社株式会社
設立 :2022年3月
代表者 :田村 洋祐
本社所在地:千葉県船橋市前原西2-32-5 結城津田沼ビルディング3階
事業内容 :ゲーミングデバイスブランド「Pulsar Gaming Gears」の輸入販売
製品開発、および関連するマーケティング・広報活動 など
採用情報
「Pulsar Gaming Gears Japan」のXにて不定期募集
▼詳細はこちらから
https://x.com/PulsarJapan
