近年、注目度が増すeスポーツ業界。しかし、その実態やキャリアパスは未だ不透明な部分も多い。
『GAMEZINE Vol.33』では「eスポーツ職業案内」として、第一線のプロたちが語る「eスポーツを仕事にする」ことのリアルに迫った。
本記事では、誌面で掲載しきれなかった内容を加えた拡大版インタビューをお届け。
株式会社JCG(以下、JCG)でプロジェクトマネージャーを務める喜多さんの経歴を振り返りながら、過去のどのような経験が今のお仕事に活きているか、イベント制作の司令塔として働く仕事の魅力についてお話を伺った。

──JCGはどのような事業を行っている会社でしょうか?
主にeスポーツを軸として、ゲームを用いた大会やイベントの制作全般を行っています。 私たちの会社には、制作、競技運営、そして配信技術の各分野のスタッフが在籍しているので、すべてをワンストップで提供できるのが特徴です。また、部署によっては開発部門もあり、大会サイトをゼロから構築したり、独自のシステムを利用してイベントの参加者募集を行ったりすることも可能です。あらゆる業務を社内で完結できる点が強みだと考えています。

──社内の雰囲気や、どのような方々が働いているかについてもお聞かせください。
「好き」が原動力になる業界ですので、楽しんで仕事をしている人が多いと感じます。ゲームが好きで入社している人たちばかりなので、繁忙度に関わらず、社内は常に活気がありますね。

──喜多さんはどのような経緯でeスポーツ業界に入られたのですか?
新卒では全く関係のない業界で営業職に就いていましたが、扱っている商材や業界が自分には合っていないと働き始めてから気づき、数年後に転職を考えました。その際、「もっと自分の好きなことを仕事にできないか」と思ったのが、eスポーツ業界を目指すきっかけです。 元々ゲームが好きで株式会社JCG(以下、JCG)の名前は知っていたのですが、直接のきっかけは、大学の先輩がJCGに勤めていたことです。転職をしようとしたタイミングで、その先輩に話を聞きに行ったのが始まりですね。この業界は、横のつながりが非常に重要だと実感しています。

──元々ゲームがお好きだったのですね。
はい、ゲームは好きでした。当時は競技シーンを熱心に見ていたわけではありませんが、個人的に『レインボーシックス シージ』をPlayStationでプレイしていました。

──入社前、JCGにどのようなイメージを持っていましたか?
当時は『レインボーシックス シージ』や『Shadowverse』の大会を運営していたので、コミュニティを育成する施策に強い会社というイメージでした。しかし入社してみると、eスポーツだけでなく、ゲームに関わることであれば大小問わず、あらゆる案件を手掛けていることを知りました。JCGの名前が表に出ない裏方の仕事も非常に多いです。オールマイティな会社であると実感すると同時に、自分もあらゆるゲームに精通していなければならないという責任感も生まれました。それが良い意味でのギャップでしたね。

──喜多さんの現在のポジションと、具体的な業務について教えてください。
私のポジションは、案件全体をまとめる「プロジェクトマネージャー」です。 主な業務は、大きく分けて「クライアントとの話し合い」「全体のスケジュール管理」「予算の管理」の3つですね。クライアントのご要望とご予算をお聞きして、企画の提案をしたり、調整したりします。企画の方向性が固まったら、社内の制作、運営、配信といった各分野の専門ディレクターたちと協力しながらプロジェクトを進めていく、司令塔のような役割ですね。

──最近担当されたプロジェクトで、お話しいただけるものはありますか?
昨年から2年連続で「鉄拳8」の公式案件を担当しています。昨年は日本で開催された『ワールドツアーファイナル』の制作、運営、配信技術全般を手掛けました。今年は、弊社主催で『鉄拳8』のコミュニティ大会を計3回開催しており、これらが大きなプロジェクトになります。

──これまで手掛けられたイベントの中で、特に印象に残っているお仕事はありますか?
ある企業の周年記念イベントとして開催された社内eスポーツ大会です。案件の規模によっては、若手メンバーが経験を積むための育成の場となることもあり、当時はまだ若手だった私も、大会の形式から配信の演出まで様々な提案をさせていただきました。皆さんがイベントを心から楽しんでいる姿を直接見られたとき、「自分の提案が形になり、人に喜んでもらえた」と実感でき、大きなやりがいを感じましたね。

──外部向けの大きなイベントだけでなく、そうした社内イベントも手掛けているのですね。
はい、社内eスポーツ大会の依頼は定期的にいただきます。余った予算の活用や、社内レクリエーションの一環としてご相談いただくことが多いですね。年度末や期の終わりなどが特に多いです。

──その他にも印象に残っているお仕事はありましたか?
昨年担当した『鉄拳ワールドツアーファイナル』です。このイベントには世界各国の選手が集まるため、ホテルの手配から、通訳を介してのコミュニケーション、海外の配信チームとの連携など、グローバルな対応が求められました。日本で生まれたゲームがこれほど世界で愛され、高い技術を持つ選手たちが東京に集結しているという事実に、『鉄拳』というゲームタイトルのパワーを感じました。そうした大きな舞台に関われたことは、非常に楽しく、貴重な経験でした。

──JCGだからこそできる経験とは何だと思いますか?
これまではイベントに「参加する側」でしたが、今は「楽しむ場所を作る側」になったことです。どうすれば参加者に楽しんでもらえるか、ワクワクしてもらえるかを考え、形にしていく。これは制作会社ならではの経験であり、大きなやりがいです。自分たちが企画したイベントに本当にお客さんが来てくれるのか、開催直前まで不安ですが、実際に楽しんでいる姿を見ると、心からホッとします。

──逆に、仕事で大変なことは何でしょうか?
あらゆるゲームについて、深い知識を持っていなければならない点です。私は一つのゲームに集中するタイプなので、入社当初は様々なジャンルのゲームに対応するのが大変でした。案件を担当する上で、そのゲームを深く理解するために、まずは自分でやり込む必要があります。そこは今でも大変だと感じる部分です。

──仕事をする上で、過去のどのような経験が活きていますか?
先ほどの営業経験もそうですが、ゲーム業界とはいえ、ビジネスライクな側面も多くあります。外部の方とやり取りする上では、社会人としての基本的なマナーや経験は活きていると思います。もう一つは、シンプルに「好きなゲーム」の案件を担当すると、モチベーションが上がり、仕事が非常にはかどります。オタクと言えるほど熱中して、様々なアイデアを提案できるので、そこは大きな強みになりますね。

──プロジェクトマネージャーにはどのようなスキルが求められますか?
何よりも「責任感」が重要です。私たちは常にクライアントの窓口であるため、どんな状況であっても、最終的にお見せするもののクオリティは必ず担保しなければなりません。例えば、担当ディレクターが体調を崩して進行が遅れたとしても、それはクライアントには関係のないことです。その際は、私が業務を巻き取ってでも、約束通りのものを納品するという強い意識が求められます。

──この仕事ではどのようなスキルが身につくと感じますか?
「決断力」が身についたと思います。ディレクターでもプロジェクトマネージャーでも、スケジュールが限られる中で、複数の選択肢から最善のものを選び、「これで行く」と決めなければならない場面が多々あります。その際に、なぜそれを選ぶのかを自分の中で明確に理由付けし、責任を持って最後までやり遂げる。この繰り返しによって、自信を持って決断する能力が養われました。

──これからeスポーツ業界を目指す方に、JCGが求める人物像を教えてください。
まず、広くゲームが好きなことです。特定のタイトルだけでなく、ゲームが持つ可能性そのものに期待している人と一緒に働きたいです。そしてもう一つは、コミュニケーション能力です。チームで仕事を進める上でも、クライアントとやり取りする上でも、円滑なコミュニケーションは不可欠です。

──これからeスポーツ業界を目指す方々へ向けて、今のうちにやっておいた方が良いことがあればアドバイスをお願いします。
eスポーツイベントにたくさん参加してみてほしいですね。ユーザーとして現場を体験しておくことは非常に重要です。もし可能であれば、選手として大会に出場することもお勧めします。選手側の視点は、イベント作りに必ず活きてくるので。私は入社前にそういった経験が少なく、後から重要性を痛感しました。 ただ、突き詰めると「ゲームが好き」という気持ちだけで十分だと思っています。イベントが好きで、今度は自分が作る側として関わりたい。その思いさえあれば、必要なスキルや知識は後からついてきます。私もその気持ちだけでここまで来たので、「好き」という気持ちが、すべての原動力になると思っています。

プロフィール
eスポーツ制作事業部 プロジェクトマネージャーを務める。東京都出身、32歳。タクティカルシューターや格闘ゲームを好み、『レインボーシックス シージ』でeスポーツの競技シーンを知る。営業職から「好き」を仕事にするためeスポーツ業界へ転身し、現在はプレイヤーが熱狂するイベント制作の最前線に立つ。

会社情報
株式会社JCG
設立   :2017年5月
代表者  :代表取締役社長 小林 大祐 / 代表取締役CEO 松本 順一
本社所在地:東京都江東区豊洲5-6-52 NBF豊洲キャナルフロント5F
社員数  :78名(2025年3月末現在)
事業内容 :eスポーツに関する大会やイベントの企画・運営
   ゲーミング大会サイト「JCG」の運営管理など

主な採用情報

  • 新卒採用
  • シニア・プロジェクトマネージャー
  • eスポーツディレクター
  • イベント技術・番組技術スタッフ
  • 日勤インターン
  • 総務スタッフ
  • ゲームイベント運営スタッフ など

採用情報の参照ページ
https://jcg.co.jp/careers