近年、注目度が増すeスポーツ業界。しかし、その実態やキャリアパスは未だ不透明な部分も多い。
『GAMEZINE Vol.33』では「eスポーツ職業案内」として、第一線のプロたちが語る「eスポーツを仕事にする」ことのリアルに迫った。
本記事では、誌面で掲載しきれなかった内容を加えた拡大版インタビューをお届け。
株式会社JCG(以下、JCG)でプロデューサーを務める木成さんの経歴を振り返りながら、どのような経験がイベント制作に活きるのか、「ゲーム好き」はそこからどう進んだら良いのかについてお話を伺った。

──まず、JCGがどのような事業を行っているのかを教えてください。
JCGは、eスポーツやゲームに関連するイベント事業を手掛けています。主な事業内容は、ゲームメーカー様からご依頼を受け、公式大会の番組制作や大会運営を行う受託事業と、自社でイベントを主催する事業の2つです。
例えば、『鉄拳8』の公式番組は基本的に弊社が担当させてもらっております。『GUILTY GEAR -STRIVE-』の公式番組や、『ストリートファイター6』の公式世界大会『Capcom Pro Tour 2025』をはじめとする格闘ゲームの大会の多くを担当しています。その他にも、『VALORANT Challengers Japan』などを企画・運営から受託しています。

──働き方としては、出社してお仕事されるのが基本的なスタイルですか?
コロナ禍でフルリモートの時期もあったのですが、その後、水・木・金曜日が出社になりました。ですが、こういうイベント事業って、人と人が直接話さないと良いものが作るスピードが遅い傾向にあると感じ、2025年の10月からは月曜日以外は全て出社の体制になりました。週末に案件があることも少なくないので、ゆっくりできるようにという意図で月曜日がリモート日としてチョイスされました。

──社内で働くことが増えたということですが、社内の雰囲気を教えてください。
出社日を増やしたこともあってか、社内のコミュニケーションはすごく活発で、会議室を積極的に利用したりして、互いの認識を合わせてものづくりをしましょう、という雰囲気がありますね。それこそ、「木成グループ」という、より格ゲーの知見に特化したグループあるんですけど、業務中に休憩がてら「1試合だけやろうか」となることはよくあります。

──やはり社員の方々はゲーマーが多いですか?
eスポーツ、ゲームが好きな人は本当に多いです。経理や法務の方ですら、ゲーム好きの色が強いですね。JCGサーバーという社員用のDiscordサーバーがあって、プライベートでも一緒にゲームをやっているのをかなり頻繁に見かけます。『Shadowverse: Worlds Beyond』がリリースされたときはずっとプレイしていました。ここには退職された方もいたりして、単純にみんなの遊び場、良いコミュニケーションの場になっています。

──社員の方々同士でとても仲が良いんですね。
そうですね。JCG全体として本当に優しい方が多いです。ゲーム中は豹変してしまう人もいますけどね(笑)。

──ここからは木成さんのお仕事についてお聞きします。まず、現在の木成さんのポジションを教えてください。
営業とeスポーツ制作業務のプロデューサーを務めています。営業としてはお客様の課題解決やコンペの獲得などを行い、プロデューサーとしてはクライアント折衝や全体のプロジェクト管理を行っています。これまでは、制作チームのうち、自分のチームだけを取り仕切っていましたが、先日からはeスポーツ制作部部長というポジションに変わって、全ての制作チームや営業の数字など、会社全体に目を向けるようになりました。JCG所属のプロゲーマーとしても活動しています。

──木成さんがJCGに入社された経緯を教えてください。
僕はこの業界に入る前は週7でゲーセンに通って、プロゲーマーを目指していたような“仕上がってる”人間だったと思います(笑)。その当時、格闘ゲームの世界大会(Northeast Championship 16『BLAZBLUE CHRONOPHANTASMA EXTEND』部門)で準優勝するなどの結果を残してはいましたが、「26歳までにプロになれなければ一度区切りをつけよう」と決めていたんです。結果としてその夢は叶わなかったので、そこから「社会人として働こう」と決意しました。最初に入社したのはゲーム制作会社で、広報業務を担当。その後同業他社でアシスタントディレクターとして経験を積みました。 そして「一度、自分の力でどこまでできるか試したい」と思い、フリーランスとして独立。約2年間、個人で活動してきました。その時に、取引先の1つだったJCGから誘いを受けて、入社しました。

──JCGに入社する前と後で、ギャップはありましたか?
働き方という点では、入社前からよく知っていたので大きなギャップはありませんでした。ただ、社員になったことで、JCGが大事にしている考え方やスタンス、例えば「eスポーツを支えるインフラを提供する」という理念や、社員を大事にする姿勢を強く感じました。社員がチャレンジしたいことやポジティブな提案を後押ししてくれる、すごく優しい会社です。綺麗事ですが、そこに真摯に取り組んでいるのがすごいなと感じます。これは社員になって良かったと思った点でもありますね。

──木成さんがお仕事をするとき、意識していることは何ですか?
まずはお客様の課題や困り事を細かく聞くことを一番大切にしています。一方的に「eスポーツは良いですよ」と提案するのではなく、eスポーツが活用できる理由を明確にするため、コミュニケーションを取ることを意識し、私たちだからこそできる提案、一歩踏み込んだ付加価値を提供したいと考えています。また、プロゲーマーとしての知見を活かし、他の方よりも早いスピードで提案から形にしていくことを心がけてもいますね。
さらに、個人的に大事にしているのは「極端に安く売らない」ということです。これは、eスポーツ業界全体の価値を上げたいという思いもありますし、この仕事は肉体的にも精神的にも大変なことが多いので、関わっている人たちが、ちゃんと報われてほしいからです。そのために、しっかりと利益を出すということも大切にしています。

──タフなお仕事も多いのですね。これまで、様々なプロジェクトを担当されたと思いますが、一番印象深かったのは何ですか?
『ARCREVO Japan 2022』ですね。僕が当時通っていたゲーセンの店員さんが、のちにアークシステムワークスの営業担当になっていて、そのご縁から公式のオフライン大会のコンペに参加できることになったんです。しかも、そのコンペで採用され、実際に大会を担当することができました。ただ、責任者やディレクターとしてだけでなく、自分が長年好きだったタイトルの公式大会を作るというのは、大きなプレッシャーでした。でも、無事に大会エンディングムービーが観られた時、乗り越えた達成感や「自分が大好きなゲームに恩返しができた」とか、色々な思いがこみ上げてきて、クライアントと一緒に泣いてしまいましたね。

──まさに「ゲーム好き」の理想的なゴールだと思います。eスポーツや、ゲームのイベント制作の仕事に向いている人はどのような人だと思いますか?
好奇心が強い人ですね。我々の仕事は常に何か作り続けることだと思っていて、そのためには脳内にたくさんの引き出しが必要です。ゲームだけに囚われず、幅広く興味をもって自分の中に取り込んでいく。そしてそれを、自分がアイデアを生み出すときの材料にできる人は強いと思います。あとは、経験は必ず武器になります。若くて時間と体力があるうちは自分が好きなことや、自分だからこそできることにとことん取り組めると良いと思います。

──やはり、入社前に実践的な経験があった方が良いですか?
そうですね、間違いなくあった方が良いと思います。例えば、母親が作ってくれていたお弁当は、大人になって自分で作ることで初めて大変さがわかるように、行動に起こすことは本当に大事です。イベント制作などの経験は必ず武器になりますから、若くて時間と体力があるうちは自分が好きなこと、自分だからこそできることは、とことん取り組んで突き詰めると良いのではないでしょうか。

──JCGにはどのような人に来てほしいですか?
eスポーツの世界で、明確にやりたいことがあるような、野心がある人ですね。「大会を運営したい」というのは手段であって、「大会運営した先にどんな世界を作りたいのか」を考えることができると最高です。「なぜ?」を突き詰めていったときに、「ゲームが好きだから」で終わってしまわないように、流行の移り変わりも競争も激しいこの業界で、エゴを発揮して形にできる野心とパワーを持っている人に来てほしいです。

プロフィール
eスポーツ制作事業部 プロデューサーを務める。1988年生まれ、大阪府吹田市出身。株式会社JCG(以下、JCG)でeスポーツ制作部部長、プロデューサーを務める傍ら、同社所属として格闘ゲームのプロゲーマーとしても活動している。現在の主なプレイタイトルは『グランブルーファンタジー ヴァーサス -ライジング-』と『鉄拳8』。

会社情報
株式会社JCG
設立   :2017年5月
代表者  :代表取締役社長 小林 大祐 / 代表取締役CEO 松本 順一
本社所在地:東京都江東区豊洲5-6-52 NBF豊洲キャナルフロント5F
社員数  :78名(2025年3月末現在)
事業内容 :eスポーツに関する大会やイベントの企画・運営
eスポーツを通じたマーケティング活動の企画支援
   ゲーミング大会サイト「JCG」の運営管理など

主な採用情報

  • 新卒採用
  • シニア・プロジェクトマネージャー
  • eスポーツディレクター
  • イベント技術・番組技術スタッフ
  • 日勤インターン
  • 総務スタッフ
  • ゲームイベント運営スタッフ

採用情報の参照ページ
https://jcg.co.jp/careers