text by yusuke
edit by GAMEZINE
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近年、注目度が増すeスポーツ業界。しかし、その実態やキャリアパスは未だ不透明な部分も多い。
『GAMEZINE Vol.33』では「eスポーツ職業案内」として、第一線のプロたちが語る「eスポーツを仕事にする」ことのリアルに迫った。
本記事では、誌面で掲載しきれなかった内容を加えた拡大版インタビューをお届け。
株式会社JCG(以下、JCG)で技術ディレクターを務める的井さんの経歴を振り返りながら、技術ディレクターとして意識している事や、配信の舞台裏を支える的井さんの仕事の魅力についてお話を伺った。
――大学では映像制作を学ばれていたとお聞きしまし。的井さんはどのような経緯で、eスポーツ業界のJCGへ入社されたのでしょうか?
大学では美術大学に在籍し、映画制作を学んでいました。映画監督になるのが夢でしたが、現実的に生計を立てるのは難しいと感じて、大学卒業後、アパレル企業に就職し、大学時代に学んだカメラや映像制作の知識を生かしてECサイトの開設、商品撮影、広告用のVTR制作などを担当しました。就職から3年が経った頃、新型コロナウイルスの影響で会社の経営が危機的な状況に陥りました。そこから今後のキャリアを考え始めたね。
――それがeスポーツ業界へ目を向けるきっかけになったのですね。
その頃ちょうど『Apex Legends』にハマっていて、eスポーツ大会をよく観ていました。ゲームを通じて多くの視聴者が一体となり、個々のチームや選手全体を応援する光景は、まるでサッカーの試合を見ているかのようで、自分が好きなものを多くの人々と共有できる場の素晴らしさに心を打たれ、再び映像関連の業界に戻りたいと強く思うようになりました。
以前の会社では広告制作に関わってはいましたが、映像コンテンツそのものに重きを置いた仕事ではなかったため、インターネットの配信会社を探し始め、JCGを知りました。
――入社前と後で、会社の印象にギャップはありましたか?
入社前は、テレビ業界のように上下関係が厳しく、長時間労働が当たり前の環境を想像していました。しかし実際は、労働時間も管理されていますし、若い社員が多く活気があり、非常に働きやすい環境だったのが良いギャップでしたね。
――社内の雰囲気についても、詳しく教えていただけますか。
現在活躍している社員の平均年齢は27歳くらいと若く、非常に活気がありますね。社員同士、誰もが気軽に話せる風通しの良さも特徴です。新卒入社の社員には元プロ選手やそれに準ずる実力を持つゲームが上手な人材が揃っています。一方、中途入社の社員はメディア関連やテレビ番組のプロデューサー経験者など多様です。プレイヤー目線とメディア制作の専門知識が融合し、互いに刺激を与え合うこの環境が、会社の成長の原動力となっているように思います。
――的井さんが所属する技術部のお仕事内容について教えてください。
配信全体の技術設計から本番のオペレーションまで、配信技術の全てを担っています。「企画段階」で制作チームと話し合ってシステムを設計し、「本番」では各専門職が連携して1つの配信を作り上げます。
――私たちが観ている配信が「本番」ですね。「本番」では何をされているのでしょうか?
私の主な役割は『技術ディレクター』として番組の技術の指揮を取ることです。事前設計した技術システムの管理や技術オペレーションの進行管理、トラブルシュートの対応など技術全体の統括をします。また兼任で「映像オペレーター」として視聴者の皆様がご覧になる映像のスイッチング、合成やゲーム映像の管理を行ったりもしています。
――幅広く担当されている中で、的井さんご自身のスキルが特に活きていると感じる場面はありますか?
大学時代に培ったカメラの知識や映像構成力は間違いなく活きています。また、個人的な趣味であるDIYの経験も役立っています。以前、ある案件で美術スタッフを入れずに、私がスタジオの設計から造作まで全て担当したことがあります。その際は、宣材写真の撮影、カメラ構成、ディレクション、メインスイッチングまで、音響以外のほぼ全ての業務に携わりました。自分がこれまで培ってきたスキルを総動員した、まさに集大成のような仕事であり、非常に面白い経験でした。
――そうした専門的なお仕事の中で、的井さんがやりがいを感じた瞬間はいつですか?
大会のハイライト制作を担当し、プレイの背景まで描くことを意識した結果、視聴者から「分かりやすい」と反応をいただけた時は大きなやりがいを感じました。私はもともと、ある大会のハイライト映像を見て「自分ならもっとストーリー性のあるものが作れる」と感じ、この業界を目指していたので、まさに自分がやりたいことを実現できた瞬間でした。
――とはいえ、未経験の世界に飛び込むのは相当な覚悟が必要だったと思います。
たしかに業界に知人はいませんでしたが、入社当初は年下の先輩に戸惑いつつも「気合さえあれば」と乗り越えました。実は一度不採用になりましたが、日給制での勤務を提案され、半年で結果を出して正社員になることができました。
――JCGだからこそ経験できた、と感じることはありますか?
JCGには個人の意欲を重視する社風があります。それは無責任に仕事を任せるという意味ではなく、周囲のサポートを受けながら実践で学べる環境があるという意味です。テレビ業界では、カメラに触れるようになるまでに何年も下積みを経験するのが一般的ですが、本人の探究心と責任感が認められれば、入社して間もない段階でメインスイッチャーという大役を任されるチャンスもあります。この柔軟性とスピード感は、他の会社ではなかなか経験できないことだと思います。成長したいという意欲がある人にとっては、最高の環境です。
――イベントや大会の制作には、どのような人が向いていると思いますか?
やはりそのコンテンツを深く理解している人ですね。元選手が制作に関わった配信では、コミュニティや視聴者が何を求めているかを的確に捉えることができ、非常に質の高いコンテンツが生まれます。 そして何よりも、「探究心」と「やりたい」という強い気持ちが重要です。
――「今やっておくべきこと」があればアドバイスをお願いします。
eスポーツ業界を目指すなら、まずコミュニティ大会の運営アシスタントなどで現場を経験し、実践的な知識を身につけることをおすすめします。eスポーツの配信はまだ発展途上なので、業界経験以上に「新しいアイデアを生み出し続ける熱意」が何より重要です。AI技術も積極的に導入されています。時代の進化に乗り遅れず、常に探究心を持って学ぶ姿勢が大きな武器になるでしょう。
プロフィール
技術統括部 技術ディレクター、eスポーツGFXオペレーターを務める。東京都出身、31歳。映画監督を志し美大で映像制作を学ぶ。アパレル業界を経て、コロナ禍でeスポーツ大会の熱狂に魅了されJCGへ転身。ストーリーゲームを好んでプレイする。
会社情報
株式会社JCG
設立 :2017年5月
代表者 :代表取締役社長 小林 大祐 / 代表取締役CEO 松本 順一
本社所在地:東京都江東区豊洲5-6-52 NBF豊洲キャナルフロント5F
社員数 :78名(2025年3月末現在)
事業内容 :eスポーツに関する大会やイベントの企画・運営
ゲーミング大会サイト「JCG」の運営管理など
主な採用情報
- 新卒採用
- シニア・プロジェクトマネージャー
- eスポーツディレクター
- イベント技術・番組技術スタッフ
- 日勤インターン
- 総務スタッフ
- ゲームイベント運営スタッフ など
採用情報の参照ページ
https://jcg.co.jp/careers
