text by Zuutya
edit by GAMEZINE
SHARE
2025年1月11日にASH WINDER Esports ARENAにて『Counter-Strike』(以下、『CS』)のオフラインイベント『ZYGEN CSスターエキシビションマッチ』が開催された。
概要
FPSの競技シーンが盛んな現代において、その黎明期を支えた『CS』には数多くの歴史が刻まれている。しかしその戦場で戦った日本人の存在を知る者は多くない。今回のイベントの主催であるZYGENの創設者noppo氏も『CS 1.6』のプロプレイヤーだった。日本の国旗を背負い数々の世界大会に挑み続け名誉を手に入れた選手であり、今では大レジェンドとなっている。
彼のようなレジェンドたちが引っ張った『CS』は姿を変えており、現在は『CS 2』としてリリースされ、大会も同様に開かれ現役の選手らが活躍中である。過去のレジェンドたちの栄光と現代のプレイヤーの闘志を繋ぎ、『CS 2』の発展を目指す今回のイベントはどのような盛り上がりを見せたのだろうか。
会場の様子
会場に入って見えたのは数々のマウス。『ZYGEN CSスターエキシビションマッチ』が行われる前には、同会場にて「VAXEE東京体験会」が行われていた。VAXEEの全シリーズの製品を試すことができる貴重な機会だった。特に新製品である「ZYGEN NP-01S V2 Wireless (4K)」は今回の目玉だろう。全種類並んだその様は圧巻であった。
なによりも驚いたのは客層であった。プレイ人口やその高い年齢層を理由に一部から村とさえ呼ばれる『CS』のことなので年齢層は高めかと予想していたが、元Jadeiteの選手らが登壇する兼ね合いもあってか、若い方も多く来ていたのだ。これも『CS』が古のプレイヤーから今もなお愛されつつ、現在のあり方でも好かれている証拠ではないだろうか。
本編が始まり、今イベントの実況解説・司会を務めるMamE氏とyukishiro氏が登壇した。
『CS』の歴史を語る上で決して欠かせないMamE氏と別タイトルにて解説としても活躍中のyukishiro氏の息の合った和気あいあいとした語りに、会場では笑いが飛び交っていた。『CS』をずっと見てきた2人にしかできない観客いじりもありつつイベントはスタートする。(写真左から順に、MamE氏、yukishiro氏。)
イベントの様子
はじめに、イベント開催にあたってVAXEEのCEOであるXanver Tseng氏がVAXEEユーザーに対して感謝の言葉を述べる時間があった。その際には購入特典の話もあり、「ZYGEN NP-01S V2 Wireless (4K)」の各色の初回ロット限定でマウス収納ケースという無料特典が付くとのこと。これは見逃せない特典となっている。(写真左の男性がXanver Tseng氏。)
やがてそれぞれのチームの出場選手が登壇した。まず登場したのは『CS 1.6』 のレジェンドたち。
それぞれが選手時代の様子や今回のイベントに向けての意気込みを話していくが、全員プレイへの自信がどことなく見えず、雰囲気が緩いレジェンドチームであった。
(写真左から順に、KeNNy氏、XrayN氏、ICEBERG氏、million氏、noppo氏。)
続いて登場したのは元Jadeite 『CS 2』部門のメンバー5人である。
普段は『CS 2』を戦場としている彼らにとって、『CS 1.6』の試合を行う機会は多くない。そんな貴重な一戦に対し、選手も観客も大きな期待を寄せていた。(写真中央の5人。左から順に、NaKooooo選手、taka193b選手、FurtVe氏、kaito_37選手、SIG選手。)
レジェンド選手たちと『CS 2』のプロ選手らが混合で2チームに分かれ、『CS 1.6』、そして『CS 2』での「de_dust2」というマップにおいて勝敗を決める。
XrayN氏・kaito_37選手・KeNNy氏・FurtVe氏・SIG選手はTEAM KENNYに。
TEAM NOPPOにはtaka193b選手、ICEBERG氏、noppo氏、million氏、NaKooooo選手というチーム分けとなっている。
デバイス調整を終え、まずはレジェンドたちの庭 『CS 1.6』にて1試合目が行われた。攻守の順番を決めるナイフ戦から始まった試合は、TEAM NOPPOの勝利。最後に生き残ったMillion氏による煽りしゃがみももちろん行われ、会場でも笑いが起きていた。TEAM NOPPOがテロリスト側を選択し、いよいよラウンドが始まった。
「『CS 1.6』の画面は、試合の動向が把握しづらいのが特徴的です。」とyukishiro氏はコメントした。プレイ画面上に盤面全体を映すマップはなく、各プレイヤーのHPも表示されないため、戦況の有利不利は生存人数で判断するしかない。プレイヤーに求められるのは限られた情報をもとに盤面を理解する力と、純粋な撃ち合いの強さとなる。観戦者の視点で見てみるとラウンドに関する情報が必要最低限である分、選手のエイムや立ち回りのうまさがより際立つのだ。
試合が後半に移り攻守が交代すると、取得ラウンド数もリセットされる。そのため試合終盤になると、今どちらのチームがどのくらいラウンドを取得していて、あとどのくらいで試合が終わるのかがわからず、実況解説のお二人までもが困惑していた。客席の方でも戦況がわからなくなっていき、ラウンド取得後に起こる拍手もだんだんまばらになっていたのだ。最終的にはいつの間にか引き分けで試合が終わっていた。会場は拍手に包まれたものの、はたして本当に終わったのか?という半信半疑な様子まで見えた試合となった。
2試合目は『CS 2』で行われた。
1試合目と同じマップの中で繰り広げられる攻防戦であったが、実況解説のお二人も笑いながら指摘し、客席内でも笑いが起きたほどに試合状況のわかりやすいUIが映った。変わらないマップだからこそ戦略の差が少ない分、エイムの強さが常に光り続けた試合であった。元Jadeiteの5人はさすがの強さを見せ、ラウンド取得後の隣の選手とのグータッチやハイタッチも多く見られた。
本イベントにおいてなにより良かったのは、小さめの会場だからこそチームのVCがそのまま客席の方まで届いてくるということだ。オフライン大会やイベントが大きな会場で開かれることが当たり前になりつつある今、ラウンドを勝ち取った後に選手たちの雄たけびや歓喜の声が聞こえてくることはあっても、詳細なVCの内容を聞くことはなかなかに難しい。しかし、今回のイベントになると席によっては目の前に選手たちがいるため、言っている内容すべてが聞こえてくるのだ。『CS 2』ではマップもわかるため、次になにをしたいのかが聞こえてきた上でプレイ画面を見て楽しむという方法ができたのはとてもよかったのではないだろうか。
2試合目も接戦が続き、一人の選手によるマルチキルが多くのラウンドで起きていくうちにTEAM KENNYがマッチポイントを迎え、そのまま13-11でTEAM KENNYが勝利を収めた。
おわりに
今回の『CS 2』の選手としてイベントに招待されたのは、『CS 2』の大会である『Rising E-Sports JAPAN』で優勝を果たしたJadeiteの5人であった。しかし、Jadeite全体としては2024年12月27日をもって活動を一時休止しており、それに伴い『CS 2』部門も解散を余儀なくされた。FurtVe氏も現在は『CS 2』での選手活動を休止している。 そのような状況の中で、NaKooooo選手、taka193b選手、kaito_37選手、SIG選手の4人はtemmie614選手を新たな仲間として迎え、「untitled」として活動を継続。現在も『ESEA League』に出場し、世界に挑み続けている。そんな彼らの今後の動向にも注目していきたい。
今回のイベントは、『CS』シリーズの進化を改めて我々に実感させるとともに、『CS』が世代を超えて多くのプレイヤーが楽しめるゲームであることを示した。新旧のプレイヤーが集い、ともにプレイすることで、世代を超えたコミュニティのつながりが可視化された貴重な機会となった。 今後、日本においてこのような『CS』のイベントがさらに開催され、コミュニティの発展につながることを期待したい。
関連リンク
CS Japan Twitch
https://www.twitch.tv/csjapan