日本オーバーウォッチ競技シーンに革命の風が舞う、新王者Lazuli誕生

2024年9月15日(日)に行われた『オーバーウォッチ 2』の公式大会である『Overwatch Champions Series 2024 Stage 2 Japan(以下、『OWCS JAPAN』とする)』のNyam Gamingとの決勝戦を制し、見事日本一に輝いたLazuliに『OWCS JAPAN』を終えての心境、上位2チームが進出するアジア大会『Overwatch Champions Series 2024 Stage 2 ASIA(以下、『OWCS ASIA』とする)へ向けての思いを聞いた。

――『OWCS JAPAN』優勝おめでとうございます。まずは優勝して率直な感想をお願いします。

Leonopteryx そうですね。本当にやっとの思いで日本大会で優勝できたというのがとても嬉しいです。

朔メ 自分はレンタル移籍という形でLazuliに加入したのですが、チームの役に立てたのが嬉しいです。

――Nyam Gamingとの決勝戦、どんな思いをもって試合に臨みましたか?

朔メ グループステージで戦った時は、3-0で勝利しました。なので、この決勝もチームの雰囲気的にも「勝てるだろう」と感じていたんですけど、Nyam Gamingが準決勝でVARRELに勝って決勝戦に来ているので、内心ドキドキしながらの試合でした。

Leonopteryx グループステージで3-0で勝てたのもあって、このままいけば絶対に勝てるだろうという自信はありました。オフラインでの試合だったので緊張している部分はあったんですけど、自分のいつも通りのプレイを出せれば一番だなと思いながら試合に臨んでいましたね。相手のチームにいるDaisyは3年間程チームメイトだったので今回敵として戦う中で特に意識して戦っていました。

――選手それぞれが活躍しているシーンがたくさんありましたが、自分たちのチームの強みとはなんでしょうか?

Leonopteryx 個々のフィジカルが高い所が一番の強みだと思います。あと、schwiがDPSの時もサポートの時もゲーム内で指示出しだったりIGLだったりを日本語でしてくれるんですよ。schwiは1回もPlay of The Match(以下、『POTM』とする)にはなった事がないんですけど、影の功労者と言うか、ずっとチームを影で支えてくれています。

Neivis schwiは裏POTMですね。

Godsam 確かに裏POTMって言って良いと思います。チームメイトの中で誰が一番影響力があるかって聞いたらメンバー全員がschwiって答えるぐらいチームを支えてくれているので。



――チームメイトから裏POTMに選ばれたschwi選手、『OWCS JAPAN』はいかがでしたか?

schwi 運がよかったと思います。ジュノが出たタイミングで自分がDPSからサポートに転向して、自分たちの得意な構成ができてチームらしくなれました。コールに関してはやれることをやった感じです。特にチームメンバーのポジションを意識してコールしていましたね。

――朔メ選手はschwi選手と一緒にサポートをしていましたが、他のチームと比べてコールに関して何か違いはありましたか?

朔メ 自分が危ない場所にいるときにschwiが「こっちに行った方がいいよ」というコールをしてくれることがありました。思い返してみると、他のチームでやっていた時はこういったコールはあまりなかったと思いますね。

――schwi選手はかなり視野を広くしてコールをしてくれる選手なんですね。今回の『OWCS JAPAN』でVARRELの2年間無敗を初めて破ったチームがLazuliでしたが、その時の思いを教えてください。

Leonopteryx 僕が2位の時にはずっと自分の上にVARRELがいたんですよ。それに、VARRELのタンクのKSGさんも日本人で僕よりピックプールも広くて尊敬しているプレイヤーなので、本当にやっとVARRELにも勝って、日本でも優勝できたので素直に嬉しかったです。

朔メ 自分は別のチームでVARRELと戦っている時には勝てるビジョンが見えてなくて、Lazuliに入った後でもそれは変わらなかったです。でも、やってみるとチームのキャリー力がすごくて。試合の結果は3-2だったので運が絡んでいた部分も多少はあったと思います。キャリー力と運が良かった部分があって勝てたのかなと思いますね。

――VARRELに勝利するというのは本当に難しいことなんですね。SixBlowから朔メ選手、キール選手のレンタル移籍としてLazuliに加入した形でしたが、この理由とはなんだったのでしょうか?

Godsam 2人が入ってくる前は構成の幅が狭いのが一つ悩みとしてあって。そういった中で、グループステージに向けてロスター補強ができると聞いてもっと構成に幅を持たせたかったのと、今後のパッチ変更も見据えて色々な事に対応するための準備をしたかったという理由があってレンタル移籍という形で朔メさんとキール01さんに加入してもらいました。

――チームの弱みを強みに変えることで今のLazuliの強さがあるんですね。schwi選手とNeivis選手のロール交代であったり、チームメンバーの多さからのロスター変更であったり色々な構成を試していたように見えました。こういった挑戦が今回の優勝に繋がったと思いますか?

Leonopteryx そうですね。schwiとNeivisのロール交代以外にも本当に色々な事を試しました。その中でやっと今回の構成がぴったりはまって、『OWCS JAPAN』の後半はずっとこの構成を練習し続けていた感じですね。

Godsam 日の目を見なかった構成は本当にたくさんありますね。

――朔メ選手は普段フレックスサポートを行っている印象があったんですが、ブリギッテを行っていた試合がありましたよね。あの構成も色々な事を試した内の1つの案だったという事ですか?

朔メ あの試合の時は、相手がレッキングボールとソンブラで合わせてダイブしてくる構成でアナだと対応しづらい構成でした。事前に練習をしていた訳ではなく、急遽コーチとschwiの「ブリやろう」という提案からブリギッテにしましたね。



――その場で急遽対応しなくてはいけない場面もあるんですね。今回、選手に1人ずつカメラが用意されていて、選手一人ひとりが笑顔で試合をしていた所がとても印象深かったのですが、オフラインの環境でもリラックスして試合を行えていたということでしょうか?

朔メ いや、がちがちに緊張していましたね。チームの雰囲気やプレイに影響あると思って最初の方は笑おうとしてたんですけど、途中からはチームの雰囲気も盛り上がり始めて素で笑ってたって感じですね。

――チームの雰囲気が良いとプレイもしやすいですよね。ちなみにチームのムードメーカー的存在はいますか?

Godsam まぁ、Neivisさん?ですかね。

Neivis Hiddenとよくプロレスしてました(笑)

――プロレスというのはどういったことをしていたんですか?

Godsam よくHiddenがNeivisさんのことをいじるんですよね。例えば、スクリムをしている時にNeivisさんのスタッツがへこんでいるのをHiddenが見つけると「あーNeivisー弱いー」とか言うんですよ(笑)

――2人はとても仲がいいんですね。LazuliというチームはStage 2からの参戦でしたが、今回の『OWCS JAPAN』、全体を振り返ってみていかがでしたか?

Neivis 色々ありましたね。チーム内で揉め事って程でもないですけど、そういったものもありましたし。

Godsam まぁ、揉め事というより話し合いですかね。色々な事を試してる中で上手くいかない時ってあるじゃないですか。先程話した日の目を見なかった構成っていうのがまさにそれなんですけど。上手くいってないからこそ次どうするかっていうのを話し合ってたって感じですね。

――やはりチームメンバーが多いと話し合いの中で意見をまとめるのが難しかったりするんでしょうか?

Leonopteryx 案外そんなことはなかったですね。

Godsam 韓国人選手であるHiddenとschwiとLazuliのコーチには知識であったり韓国での実績や経験がたくさんあったので、コーチと構成の話をして「これやってみよう」って決まったものを僕らがやってみるっていうのが多かったです。

――確かに韓国人の選手とコーチは経験が豊富ですよね。韓国人選手の2人は日本のチームに来ていかがでしたか?

schwi 正直韓国のチームは本当にオーバーウォッチしかしていないので、ハードすぎましたね。特に韓国のチームでは意見を合わせることが難しかったです。日本のチームでは、こうしたらいいんじゃない?と提案したらOKと言ってくれるので韓国のチームと比べて気が楽な部分もありました。日本語は元々ちょっとできましたがLazuliに来てもっと話せるようになりました。読み書きはできないですけど(笑)

Hidden 自分の場合、日本語が上手ではないのでメンバーとの言語の違いによってコミュニケーションに苦労しました。

――コミュニケーションが大事なゲームで言語が違うと大変な部分がありますよね。今回の『OWCS JAPAN』全体を通して印象深かったシーンはありますか?

Leonopteryx やっぱりVARRELに勝った時ですね。もう、勝った時はみんな大騒ぎでした。でも、韓国人選手の2人はなんでみんな大騒ぎしてるんだろうって感じでしたね(笑)

――他のチームの試合を見てる中で印象深かったシーンは何かありましたか?

Leonopteryx Nyam GamingがVARRELに勝った時ですね。

Neivis めちゃめちゃNyam Gamingが気合入ってたイメージがありますね。

Godsam 勝ち方がとてもきれいで、その時のVARRELのウルトとかスキルを完全にNyam Gaming側がコントロールしていた感じでした。

Neivis そういえば、Nyam GamingがVARREL戦のために構成を隠してたって言ってましたね。

Godsam それもあって、決勝戦始まる前にNyam Gamingの選手に「VARRELには隠してた構成で勝ったから、Lazuliにもあるかもよ?」って言われました(笑)



――構成を大事な時まで隠すというのも一つの戦略ですね。Hidden選手のジャンクラットやトールビョーンはLazuliの隠していた構成という訳ではないんですか?

Godsam あれはチームで隠していたというかHiddenが勝手にピックしてただけですね。「Trust(信じて)」って言って勝手にピックして勝手にキャリーしてる感じです(笑)


――Hidden選手がどんなキャラでも高いパフォーマンスを出せるのはさすがですね。次の大会となる『OWCS ASIA』に向けての思いと『OWCS ASIA』の意識しているチームや選手を教えてください。

Leonopteryx 僕は準決勝で元チームメイトの海底撈月を倒して、決勝戦でDaisyを倒したので次はPoker FaceにいるCARUに挑みに行きたいなと思っていて、元INSOMNIAの中で最強は俺だ!っていう気持ちで頑張りたいですね。

朔メ 自分はFinn選手、Shu選手、Simple選手がめっちゃ好きなので戦えたらとても嬉しいなと思っています。

――元チームメイトや憧れの選手との試合はとても楽しみですね。最後にファンの方へメッセージをお願いします。

Neivis そうですね。今までちゃんと注目されたことがなかったんですけど、SNSなどでファンアートを書いてもらえるようになってめっちゃ嬉しいのでちゃんと期待に答えたいですね。

Hidden 応援してくれてありがとう。楽しみながら試合をする所を見せれるように頑張ります。

キール01 自分は配信とか動画投稿をやっているんですけど、万人受けするものをあまりやっていなくて。それでも、見てくれる人がめっちゃ多くてありがたいです。男女比率が男性9割女性1割と男としては悲しい比率なんですが、今日会場に来たら女性の方がめっちゃ多くて。チアーボードを作ってくれている人も多くてとても励みになりました。会場に「100万リットル出せ!」っていうボードがあったんですけど、勝った時は正直出ましたね(笑)

Leonopteryx あまりメンタルが強い方ではないので、前のチームからずっと応援してくれる人や今回の大会から応援してくれる人から自分の配信とか大会の配信とかで暖かい言葉をたくさんもらってとても支えられていました。

Godsam 今回優勝できたんですけど、次の『OWCS ASIA』のStage 1で日本のチームが勝ったことが今までにないので歴史を更新できるように頑張りたいです。あと、自分は社会人をやりながら選手活動をしているので、今は配信活動などをやってないんですけど、身内や友人から「やってほしい」と言われているので、時期を見て配信活動にも取り組みたいと思っています。

schwi 正直、自分のファンがどれぐらいいるのかわからないんですけど、ファンの方がいるとしたらとてもありがたいですね。もっとたくさんの人に自分のことを知ってもらえたら嬉しいです。

CC2 自分が使うキャラがハンゾーひとつなのもあって、試合に出場する機会はあまりありません。それに、今シーズンの『OWCS』で選手活動は引退しようと思っているんですよ。元々Lazuliのオーバーウォッチ部門を作りましょうって言い始めたのは僕で、運営兼選手という形で今回の『OWCS』には出ていました。本当に強いメンバーが集まってくれたので、自分が選手としてではなくこれからは運営側で頑張りたいと思っています。もし、ハンゾーの強化が来たらちょっと選手としてまた戻って来るかもしれませんが(笑)とりあえず、自分が選手をやるにせよ、運営をやるにせよ、Lazuliというチームにファンがついてほしいなと思っています。

朔メ 本当に応援ありがとうございます。オーバーウォッチ 2になる前から動画投稿を続けてきていてずっと顔出しに抵抗があったんです。今でも嫌なんですけど、今回の初のオフライン大会でもう顔出ししちゃったのでこれからも顔とか関係なしに応援してくれたらとても嬉しいです。

――この度はインタビューに快くお答えいただきありがとうございました。『OWCS ASIA』でのご活躍を期待しています。

【プロフィール】

Leonopteryx
Lazuliのリーダー的存在であるタンクプレイヤー。ウィンストンを多く使用しているイメージのあるプレイヤーだが、今回の『OWCS JAPAN』ではジャンカークイーンを好んで使用していた。
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Godsam
主にD.Vaやシグマを担当しているタンクプレイヤー。元INSOMNIAの選手であり、Leonopteryx選手とはInvincibleに所属していた頃からの仲である。
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Hidden
ヒットスキャンを担当しているDPSプレイヤー。主にアッシュやウィドウメイカーを使用しているが、たまに尖ったキャラピックを見せる。
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schwi
DPSとサポートを担当しているプレイヤー。DPSではトレーサーやエコーを使用しており、サポートではジュノを使用している。彼の日本語で行うコールによってチーム全体を支えている選手でもある。
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CC2
ハンゾーを使い続けるDPSプレイヤー。前回の『OWCS JAPAN』ではナメクジブラザーズのメンバーとしてハンゾーの強さを知らしめた。
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Neivis
DPSとサポートを担当しているプレイヤー。DPSではメイを使用しており、サポートではアナやキリコを使用している。彼のメイのつららはかなりのピック力を見せてくれた。
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朔メ
主にアナを使用しているサポートプレイヤー。今回の『OWCS JAPAN』ではバイオティック・グレネードによる回復阻害は驚異的な活躍を見せた。
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キール01
ブリギッテやルシオを使用しているサポートプレイヤー。彼のブリギッテによる守りとルシオによる攻めは一級品である。滋賀の英雄としても有名である。
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【『OWCS ASIA』のスケジュールと配信先】
この先、Lazuliが出場するアジア大会『OWCS ASIA』は9月27日~9月29日、10月5日の4日間、全試合オフラインで開催。1日4試合行われ、試合は15時から開始予定。10月5日のグランドファイナルは韓国の釜山(プサン)で行われる。

▼ライブ配信先
Twitch: https://www.twitch.tv/ow_esports_jp
YouTube: https://www.youtube.com/@OverwatchJP