text by tamo
edit by GAMEZINE
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悲願の世界一へと全速前進
止まらない超新星の快進撃
綺羅星の如くーー。
一気にスターダムへと上り詰めたその姿に、
多くのファンは熱狂した。
しかし当の本人は至って平静。
それはもちろん、やれる自信があったから。
異次元の戦いに身を投じるなかで、
手の届くところまできた“世界一”。
新たな称号を獲りに行く。
Photo Mahiro Sayama
※本文は2024年8月26日に発行したGAMEZINE Vol.28に掲載されたインタビューです。フリーマガジン「GAMEZINE Vol.28」のダウンロードはこちら
No.28
悲願の世界一へと全速前進
ミーヤー選手 インタビュー
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仕事であり趣味であるゲームの出発点
――ゲームは何歳くらいからするようになりましたか? 『大乱闘スマッシュブラザーズ』(以下、『スマブラ』)をプレイするようになったきっかけも教えてください。
ゲーム自体は幼稚園くらいからプレイしていましたね。小学生になってからは、友だちと一緒に『New スーパーマリオブラザーズ』をやったりして楽しんでいました。『スマブラ』は小学生のころに『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U』(以下、『スマブラfor』)から始めて、その後にSPに移っていきました。
――プレイヤーネームは、マリオのセリフ「マンマミーヤー」が由来になっているそうですね。
マリオは思い出のキャラクターでもあるので、『スマブラfor』のころにメインで使っていました。今はXのID(@manmamiya13)にもしています。
――『スマブラ』自体のプレイ歴は10年近くになりますが、プロになる前となってからで感覚は変わりましたか?
“楽しむ”という部分では、あまり変わっていないと思っています。今はプロとして結果も求められていると思っていますし、プロ活動の一環としてYouTubeの配信もしているのですが、それ以外の時間も『スマブラ』はプレイしているので。仕事ではあるのですが、そう思わずにプレイしているときのほうが成長を実感したりもします。
――楽しみながら強くなれる…。プレイヤーとしての理想を体現している感じですね。プレイするにあたって、工夫していることなどはありますか?
あまりないのですが、最近はメモを作ったりしたほうがいいかなと思うようになりました。データというほどではないのですが、『スマブラ』はキャラクターの数が多いので、メモっておいた方が後々振り返りやすいかなと。
――今後の取り組みに向けて、というところですね。普段の練習に関しては、どのようにされていますか?
やはりスマメイトですね。『スマブラfor』のころからそこで強いプレイヤーと対戦するようになって、レートが上がるにつれてやる気もどんどん大きくなっていきました。「うまくなりたい」という気持ちしかなかったですね。もちろんスマメイトは今も活用していますから、強くなるにはそこでプレイするのが一番だと思います。
猛者に揉まれて腕を磨き、花開いた才能
――メインのキャラクターについて、マリオからドンキーコングを経て、現在はMr.ゲーム&ウォッチで世界一と呼ばれていますが、どのように決めていますか?
いろいろとプレイするなかで、『スマブラfor』の終盤にマリオからドンキーコングにメインを変えて、スマメイトのレートも2000まで行くことができました。ただSPに移行してから、任天堂がオンラインチャレンジという公式大会の予選を開いたんですね。改めてその予選のルールに適したキャラクターを探そうと思って、スマメイトでMr.ゲーム&ウォッチを使ってみたらめちゃくちゃ強かったので、今も使い続けています。
――スマメイトで実力を付けていって、大会に出場するようになるのも必然という流れですが、思い出に残っている大会などはありますか?
大会での思い出…。最初に出場したのはマエスマTOP #8で、65位だったんですよね。ただ、そこで感覚をつかめたのか、篝火#8で優勝することができました。
――そこからは戦績に優勝や準優勝が並び、快進撃という印象なのですが、そのころを振り返るとミーヤー選手としてはどのような気持ちでいましたか?
規模の大きい大会でも結果を残せていたので、気持ち的にも乗っていましたね。ただ、次の篝火#9では49位に落ち込んでしまったので、もっと練習量を増やさないとと思って、改めてスマメイトにのめり込みました。
――勝ち負けの要因といいますか、優勝できたときとそうでなかったときの感覚の違いなどは、自分のなかでどう消化していますか?
ぼくとしては、優勝と準優勝の差は紙一重だと思っているので、あまり気にはならないんです。トップ8に入れなかったときの方が、いろいろと原因を探ろうとするのですが、ほとんどが準備不足という答えになります。たとえばオフラインの大会の前は、ほかの選手の自宅で練習したり、できるだけその環境に合わせるようにしているのですが、その量が足りていない、準備不足という感じですね。あとはほかの選手の対策としてメインとは別のキャラクターを使いすぎるあまり、メインの感覚が鈍ってしまうということもあります。
――繊細なんですね…。ただ、オフライン、オンラインを問わずに好成績を収めるミーヤー選手には、「二つ目の超新星」というニックネームが付きます。ひとつめはあcola選手ですが、やはり意識しますか?
そうですね。あcola選手が大会で活躍するのを見て、最初は「すごいな」という思いだったのですが、徐々に「ぼくも同じようにできるはず」と思ってより『スマブラ』のモチベーションが上がったので。そういった部分では、最初に声をかけてくれたflat-gamingにも感謝しています。年齢的にもオフラインの大会に参加するのは資金面が大変なので、そこをサポートしてくださったおかげで今があると思っています。
――ミーヤー選手にあってあcola選手にないものなど、自分の強みについてはどう思っていますか?
『スマブラ』はキャラクターの個性が強く出るゲームだと思っているので、正直あまり思いつきません。キャラクターの特性をフルに発揮するために練習しているという感じでもあるので。ただ、キャラクターの対策が深まってくると、最後の最後は人読みの面もあるので、それが面白いところ、難しいところでもあります。
オンラインからオフライン、そして世界へ
――金銭面以外の部分で、オンラインとオフラインの大会の違い、難しさは感じますか?
ラグの違いに感覚を慣らせないといけないところですね。オンラインをメインにしていると、オフライン大会の前に必ず調整をしないといけなくなるので。もともと『スマブラ』はオフライン勢の方が強いと言われていたのですが、その理由は大会前の調整が必要ないので、普段通りの力を発揮しやすいというところにあるんです。
――今はオフライン勢の勢いが上回っているようにも感じます。スマメイトやflat-gamingのようなサポート体制が整ってきたというのも要因ですね。
「オンラインで活躍しているプレイヤーが支援を受けてオフラインの大会シーンに現れる」という流れができているので、今後も続いてほしいですね。『スマブラ』のコミュニティが、どんどん広がっていくと思います。
――ミーヤー選手に限らず、日本の選手が世界にその名を広めているのもうなずけますね。
そのおかげで、ぼくも大会で活躍できて、いよいよプレイヤーランクが1位を狙えるところまで来たので、ここで気を抜かずに駆け抜けたいですね。
――やはりランキングは気になりますか?
『スマブラ』にはLumiRankという世界ランキングがあるのですが、3位になったときは驚きました。10位から順に発表されていくのですが、なかなか自分の名前が出てこなくて、「入ってるの?」と思ったときに3位ですとなって、うれしさ以上にびっくりしました。
――まさに世界に認められた瞬間ですね。海外の大会にも参加していますが、海外に行くようになったのも『スマブラ』の大会がきっかけですか?
そうですね。海外の大会は賞金が出るので、そういった面でもモチベーションが上がります。あとは日本の場合はコミュニティ全体でレベルを上げていくというイメージなのですが、海外の場合は1人だけものすごい強い選手がいたりするので、どうやって強さとかやる気を維持しているのかが気になります。
――お国柄なのか…、調査する価値はありそうですね。また日本、世界と活躍の場を広げていくなかで、壁やギャップを感じたことはありましたか?
オンラインからオフラインの大会に出ていくときは、どんな感じなのかと思うこともありましたが、すぐに優勝もできたので「いける!」という気持ちになりました。
プロとして駆け抜けながら、見据える未来
――オフラインで腕を磨いていたからこその勢いですね。プロを意識し始めたのはいつごろですか?
中学生のころから「プロゲーマーを目指したい」とは思っていたので、16、17歳あたりは本気になって練習していましたね。「どこかのチームから誘いが来ないかな」と思っていたので、そういった意味でもflat-gamingからの連絡はうれしかったですね。
――そして現在はFENNELと契約し、『スマブラ』部門の看板を1人で背負っているわけですが、重みのようなものは感じますか?
ほかの部門は複数人のチームだったりするので、そういった意味ではよりがんばらないといけないと思っています。基本給もいただくようになって、完全に仕事になったわけなので、改めて気持ちを入れていきます。
――『スマブラ』を通して、これまでにもさまざまな経験をされていますが、今後はどのような未来図を描いていきたいと思っていますか?
10年先、20年先でも活躍できる選手になりたいですね。反射神経の問題などで「eスポーツは若い選手の方が有利」と言われていますが、『スマブラ』はそういったゲームではないので、やり続けられると思っています。ゲームによっては新作が出るたびにゲーム性が変わったりもしますが、基本は変わらないと思うので、常にトッププレイヤーであり続けたいですね。
――別の格闘ゲームでは40歳を超えたプロゲーマーもいらっしゃいますし、『スマブラ』もそういったコンテンツになるパワーがありますよね。さらなる飛躍に向けて、活躍を大いに期待しております。
ミーヤー
FENNEL 『スマブラ』部門所属。2004年生まれ。米津玄師とコーラをこよなく愛する19歳。「スマメイト」でメキメキと腕を上げ、複数キャラでのレート2500超え、史上初のレート2600などを達成。
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