eスポーツが流行語大賞入選から5年。現在では、eスポーツやプロゲーマーというワードが一般化し、フルタイムでプロリーグでプレイするプロゲーマーも珍しくはない。さらに2023年は多くのタイトルで世界大会が日本で開催されている。もう日本をeスポーツ後進国とは言えないだろう。
そんな盛り上がりを魅せるeスポーツ業界で現在活躍する9人にどんな1年にするのか、聞いてみた。

※本文は2024年4月25日に発行したGAME STAR Vol.27に掲載されたインタビューです。フリーマガジン「GAMEZINE Vol.27」のダウンロードはこちら

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RAGE総合プロデューサー
大友 真吾

現状維持ではなく、
さらなるチャレンジに挑む

2024年はキーワードとしては”海外”、”ゲーミングカルチャー”この二つの領域に大きくチャレンジしていきたいなと思っています。
盛り上がった2023年を現状維持ではなく、大きな成長を遂げるために必要と感じていますので、RAGEとしてはゲーミングカルチャーのさらなる拡大、海外をキーワードに新たなチャレンジをしていきます。
先日発表させていただいた、JR池袋駅直結の「Café&Bar RAGE ST」ではこれまでゲーミング文化に触れてきてこなかった方々の玄関口のような存在になっていけたらと思っていますし、ゲーミングコミュニティを活性化させる場所として、カフェ店内にキャスターデスクを設置し、VCT Pacific Kickoffの実況解説を現場で生でご覧いただき、楽しんでいただけるような新しい取り組みにもチャレンジしています。
eスポーツ市場にとどまらず、ゲーミングコミュニティ/ゲーミング市場をより活性化させるためにどうすべきなのか、視野を広げて活動できると良いと思ってます。2024年もマーケットの皆さんといろんなチャレンジをしていきたいです。

【プロフィール】

CyberZ、エイベックス・エンタテインメント、テレビ朝日の3社で運営するeスポーツイベント「RAGE」をまとめ上げる総合プロデューサー。Apex Legends、VALORANTなどの人気タイトルの「公式大会」を運営。

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GLOE株式会社 代表取締役
谷田 優也

上場した会社で
日常となるようなゲーム、eスポーツを。

ウェルプレイド・ライゼストというeスポーツのジャンルで初めてグロース市場に上場した会社は、今年会社の商号を変更しGLOE株式会社となりました。
新しいビジョンである、Gaming Lifestyle Companyの新しいあり方として、ゲームの活用の新しいきっかけ、日常となるようなゲーム、eスポーツの有効活用の場を広げていきたいと思っています。ストリーマーの皆さんといっしょに、eスポーツやゲームはもちろん、その人の良さを生かしたエンターテイメントを一緒に生み出していくということもやっていきたいと思っています。
プロリーグ、世界大会に挑む選手へのサポートはもちろんのこと、社内でのエンゲージメント、採用活動、教育、ヘルスケアといった領域を組み合わせた地方自治体の皆様との連携なども多く引き合いを頂いていますので、面白いチャレンジを多くできるように頑張ります。応援よろしくお願いいたします。

【プロフィール】

2015年11月にウェルプレイドを設立後、ライゼストとの合併を経て、ウェルプレイド・ライゼストの代表取締役へ就任。2022年、東証グロース市場へ上場し、2024年に社名をGLOEへ変更。

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ARTISAN 企画・運用マネージャー
uNleashedjp (田原)

全人類の命中率を5%向上させる

個人的に主催している、カジュアルなマーケットイベント「ゲーミングバザー」が1,400人を超える方に来場いただくなど、急成長しました。
小規模でゆるゆるやっていたかったのに…的な想いを横目に、さらに多くの方にご参加いただけるよう、拡大路線で準備を進めています。
春は5月に大阪、秋は10月に東京で開催します。ぜひ遊びに来てください!
また、国産ゲーミングデバイスブランドの「ARTISAN」に入社しました。ARTISANでは「全人類の命中率を5%向上させる」ことにも取り組んでいきます。「ゲームをもっと楽しめる世界をつくる」というスローガンは変わっておりませんので、遊べる場をつくったり、より快適にプレイできるための商品をつくったり、上達の手助けとなるサービスを開発したり、と公私共にさまざまなモノやコトを創っていきます。
あと自分ももう少し弾をあてられるはずなので、先に命中率5%向上達成します。つくる側が弾当ててなきゃ話になりませんからね。

【プロフィール】

海外プロチームに所属しQuakeシリーズにて海外の大会に参加し続けた歴戦の勇者。オフラインイベント『Tokyo Game Night』の運営などを経て現在は国産のゲーミングデバイスブランド『ARTISAN』で企画・運営。

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配信技研 取締役予定
中村 鮎葉

ゲーマーの理想的な生き方を追求し、広める

2024年は長年勤めていたTwitchを退職するところから始まり、今は仕事を探している状態です。活動の後ろ盾というか大義名分を失ったので、自分にとってはまず止まり木を探す年になりそうです。
しかし、自分が目指すべき最終目標というか終着点は余り変わりません。ゲーマーの理想的な生き方を追求し、広めることです。現代はゲーマーにとって生き易い時代になりました。それでももっと良くできるポイントがあると見ているので、そういった点を動かす仕事をして行きたいです。
また、元々私がスマブラ勢出身でして、加齢により界隈でやることも減ってきたと思っていました。しかし、ここ最近はスマブラ勢としてコミュニティ内でやることも増えています。スマブラ勢が、上述のようなゲーマーの理想的な生き方を目指しているからだと思います。
ゲーマーが楽しいことを求め続ける限り私はやることがあるので、頑張ろうと思います。

【プロフィール】

国内最大規模の大乱闘スマッシュブラザーズシリーズのオフライン大会『ウメブラ』の立ち上げスタッフであり、スマブラコミュニティを支えてきた重鎮の一人。東大卒でTwitchの日本人第1号社員。

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株式会社ODYSSEY代表
平岩 康佑

いかに競技シーンに継続性をもたせるか

2018年以降、Apex Legendsの競技シーン立ち上げと初期の成長に関しては多くのノウハウが蓄積されてきました。しかし、盛り上がった競技シーンも大型スポンサーの撤退などで数年で衰退することが少なくありません。キャスターを多く抱える身としては、シーンの継続性は死活問題です。そのため弊社では、昨年からApex Legendsの競技シーンを盛り上げるためにキャスターという枠組みを超えた取り組みに力を入れています。
YouTubeで『APEX MASTERS』を立ち上げ、ALGSのコンテンツを通じて新規視聴者獲得やビギナーの競技シーンへの誘導を図っています。
また、オフシーズンにプロだけが出場する大会『IGL MASTERS』を主催することで、試合のない時期でも選手の露出機会を増やし、ファンコミュニティのモチベーション維持にも努めております。
今年も様々な企画を通じて、誰よりもAPEXに時間を費やしてきたプロ選手たちのサポートができればと思っております。

【プロフィール】

eスポーツキャスターが多く在籍する株式会社ODYSSEYの代表。2018年に朝日放送テレビのアナウンサーからeスポーツキャスターへ転身し、現在では『ALGS』など多くの公式大会で実況を務める。

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株式会社ユニバーサルグラビティー 代表取締役
松田 泰明

「プレイヤーファースト」の精神で『EVO Japan 2024』を成功へ

まずは、2024年4月27日より行われる『EVO Japan 2024』の成功に尽力していきます。
『EVO Japan 2024』は、現在シーンを牽引する「STREET FIGHTER 6」や、先日新発売の「TEKKEN 8」など、格闘ゲーム界の最新ビックタイトルだけでなく、今年稼働25周年を迎える「STREET FIGHTER III 3rd STRIKE: Fight for the Future」などもメインタイトルに選出されている、日本最大の格闘ゲームの祭典です。
個人的には日本にEVOが来た一番最初の2018年プレ大会からこのイベントに携わってきましたが、今回は大会運営委員長に就任させていただきました。これまで以上に、できる限り選手に寄り添った「プレイヤーファースト」の精神のもと運営を進め、選手・観客の方々が最高のイベントだったと思っていただけるよう、運営チーム一同全力で臨みます。
他でもさまざまなコミュニティ・企業と連携したeスポーツイベントの企画・制作・運営などを通じて、選手の笑顔を見られる機会が増える年にしていければと思います。

【プロフィール】

株式会社ユニバーサルグラビティー代表取締役で、東京都板橋区の大山と志村に1店舗ずつ構えるゲームセンター「ゲームニュートン」のオーナー。格闘ゲームシーンの最前線に20年以上立ち続けるキーマン。

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株式会社JCG 代表取締役CEO
松本 順一

今年は第2期eスポーツ元年、結果を出す年

2023年は私にとって、本当に大きな激動の年になりました。JeSUの国際委員長就任、JCGの日テレ子会社化など、今後につながるチャレンジを行いました。
2024年1月、新年の挨拶でJeSUの早川会長が『今年はeスポーツ元年 第2期です』と話していました。私にとってもeスポーツ元年です。オリンピックが強烈にeスポーツを意識し、GEFやIeSFの経営体制が大きく更新され、日本スポーツ会議も続いてeスポーツへの取り組みを宣言しました。シニアに向けても任天堂やセガが取り組みを発表し、小学生プロゲーマー誕生など若年化も進んでいます。今後起こる変化を、大きく感じさせる1年です。
今年、2024年は私にとってもJCGにとっても結果を出す年と位置付けています。やり切った暁には、2ステップも3ステップも駆け上がれる、そんな年だという予感があります。皆さんにとってはいかがでしょうか。もし進化を、結果を求めているのであれば、ぜひ私たちとご一緒しましょう。

【プロフィール】

2013年からコミュニティ大会の運営事業を始め、2017年には法人としてJCGを起ち上げ、eスポーツ黎明期より数多くのイベントに携わる。当時はmatsujunとしてRTSゲームのコミュニティを運営・実況を行う。

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西村あさひ法律事務所・外国法共同事業 弁護士
松本 祐輝

弁護士として選手やクリエイターをサポート

2023年はオフラインイベントが復活し、多くのファンが楽しめる機会が増えた1年になりました。
今年は『EVO Japan 2024』のエントリー費用有料化など、これまで行ってきた制度整備が活かされるイベントの開催があるということで嬉しく思っています。
eスポーツという切り口からは「VALORANT」のように多くのプレイヤーがのめり込めるタイトルがもっといろんなジャンルから出てくるといいな、と期待しています。
私自身はこれからも弁護士という立場で選手やクリエイターのサポートに注力していきたいと思います!

【プロフィール】

2019年から日本eスポーツ連合や経済産業省と共にeスポーツに関する法的問題の解決に取り組む弁護士。2024年1月に開催された『第1回日本eスポーツアワード』においてeスポーツ功労賞を受賞。

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eスポーツニュースサイトNegitaku.org運営者
Yossy

歴史あるeスポーツタイトル最新作に期待

2024年に注目しているのは、eスポーツ初期からの歴史を持つゲームの動向です。
2000年頃のeスポーツといえば「Quake 3」「Counter-Strike」「StarCraft」が主要タイトルでした。いまは数え切れないくらいのeスポーツタイトルで競技が行なわれています。
そんな中、2023年に「Counter-Strike 2」や「StarCraft」の元開発者が手がける「Stormgate」が登場しました。今後「Quake 6」がリリースされるのではないかという噂もあります。
eスポーツに関心があったけど離れてしまったという人は「これ昔のヤツ知っている!」みたいな形で、若いみなさんは現代風に蘇ったゲームで各タイトルが持つ魅力を感じてもらえるようになるのではないかと期待しています。
みずイロ編集長、「GAMEZINE」で特集いっちゃいましょう!

【プロフィール】

22年続く老舗eスポーツニュースサイト「Negitaku.org」を運営するレジェンドの一人。2020年からはポッドキャスト「電競元年ラジオ」を週1更新中。『第1回日本eスポーツアワード』ではeスポーツ功労賞を受賞。

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