text by tamo
edit by GAMEZINE
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4月15日に韓国で幕を開けた『PLAYERRUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS(以下、PUBG)』のプロリーグ戦、「OGN PUBG SURVIVAL SERIES 2018 Season 1(PSS)」。
地元韓国はもちろん中国などからも強豪が集まるこのリーグ戦に、日本からは「PUBG JAPAN SERIES(以下、PJS)」で活躍しているJUPITER NOVAとAKIHABARA ENCOUNTが出場。
今回は4日間に分けて行われた予選の後、それぞれのチームのリーダーにPSSでの戦いぶりや思いを聞いた。
ここではAKIHABARA ENCOUNTのCroooooiZzy(クロイジー)選手の声を紹介していく。
悔しさのなかで見えてきた未来への活路
——PSSの予選、お疲れ様でした。AKIHABARA ENCOUNTはBグループでDAY2(4月18日)とDAY4(4月29日)を戦って、24チーム中20位という結果でした。ここまでを振り返ってみて、今の気持ちを教えてください。
正直、消化不良という思いが強いです。PSSの前に韓国人コーチのアドバイスでチームの動き方を変えたのですが、僕も含めてメンバーにその良さが浸透しきらないうちにPSSが始まってしまって……。
——準備不足だった、と。
コーチの戦術に『なるほど』と思う部分が多かったので、発揮できなかったのは悔しかったですね。
そういったこともあって、DAY4では『一旦これまでやってきた動きに戻してみよう』となりました。ラウンド4で7位を取れたので、5月6日に行われる敗者戦に向けての流れを作れたかとは思います。
——Twitterでも「コーチとプレーすると知識が広がる」とつぶやいていましたね。
ものすごく発見があります。今後は自分たちのやってきたことをベースに、コーチのアドバイスで肉付けしていくような方法がいいのかなと感じました。
昨日、コーチと野良回したけど、あの人と一緒にやるだけで知識が増えていくこがわかった。スクリムよりしばらく野良回した方がいいんじゃないか説。あと、通訳さんの声が落ち着く
— CroooooiZzy (@CroiZz) 2018年4月26日
——今後に向けた方向性を知るという意味でも、有意義な大会になっているわけですね。ここまで対戦してきた相手には、どんな印象を持ちましたか?
とくに『上手い』と思わされたのは、中国のVG(VICI Gaming)ですね。このチームはチームとしての立ち回りももちろん、1対1の撃ち合いにとにかく強かったです。
韓国のチームでは、Cloud9 PUBGやOGN ENTUS ACEは、やはり強烈でした。
——海外の強豪と戦うと、見えるものや得るものも多いですね。改めてこれからの目標を教えてください。
僕個人……リーダーとしては、変えようとして崩れてしまったチームの動きを、早めに立て直したいと思っています。PSSの敗者戦もそうですが、PJSβリーグの開幕戦も5月19日と迫っているので。
チームとしてはPJSβリーグでの優勝。そして大会のいずれかのラウンドでドン勝を取りたいと思っています!
コンシューマの時代から常にそばにあったFPS
——ここからはCroooooiZzy選手自身のことも掘り下げていきたいと思います。最初にプレーしたゲームは覚えていますか?
3歳くらいのときに、母の会社の同僚の家でファミコンをプレーした記憶があります。
実家にはNINTENDO64があったりして、ゲームは身近でしたね。
——ハマったゲーム、やりこんだゲームはありましたか?
NINTENDO64なら『007 ゴールデンアイ』ですね。コンシューマですが、人生で初めてプレーしたFPSということで、今思うと原点だったんだなと。
PlayStationでは『BIO HAZARD』を友人とよくプレーしていました。TPSですが、撃って敵を倒すという部分では共通点がありますね。
『大乱闘スマッシュブラザーズ』などもプレーしたのですが、弱かったんでできるだけ避けていました(笑)。
FPSは「勝てる」ということもあって、小学校高学年くらいのときからずっと触れています。
——地元では負け無し?
そんなこともなくて、学年で上から3番目とかでした。
そのあとは高校時代にPS3の『METAL GEAR ONLINE2』を始めました。コンシューマでしたが、オンラインでボイスチャットをしながらというのがとても新鮮で。あのころはDiscordなんて便利なものはなかったので、Skypeを使っていました。
——状況がどんどん今に近づいていきますね。腕前はいかがでしたか?
日本のプレーヤーのなかで中の上くらいでしたね。そういうランクのチームに入れてもらっていました。
ただ当時は今とはFPSに対しての考え方がまるで違って、『METAL GEAR ONLINE2』は6対6で勝敗を争うゲームなのですが、個々が強ければいいと思っていたんですね。
でも振り返ってみると、強かったチームは開幕の初動からしっかりとチームとして動いていたなと。自分にはなかった視点を持っていたと思います。
——『METAL GEAR ONLINE2』で、チームとしての戦い方を知ったと。
チーム戦術を知ったのは『METAL GEAR ONLINE2』でしたが、チーム戦術を本格的に学んだのは『Counter-Strike:Source』をプレーしている頃ですね。ここでコンシューマからPCに移行しました。
17歳くらいでしたが、入れてもらったチームのリーダーにみっちりと叩き込まれまして、目からウロコが落ちましたね。『なるほど』と思うことばかり。
ゲームを楽しむことから開けたプロへの道
——『Counter-Strike:Source』では、大会に出場するような経験もしていたのでしょうか。
そうですね。練習のかいもあって上位の成績を収めることができました。そしてプロゲーマーという存在がいることも、そのころに知ったんです。
僕はFnaticというスウェーデンのチームのf0restという選手に憧れていまして、「いつか大きな舞台で戦ってみたい」という気持ちも持っていました。
ただ過去にFnaticと日本代表が対戦したことがあったんですが、日本代表が大敗してしまって……。世界との差に驚かされました。
——それでも臆することなく、プロを目指したわけですね。
実はプロになることを強く意識していたわけではなかったんです。
『Counter-Strike:Source』の後も『Dota2』や『Overwatch』をプレーして大会に出たりしていて、そんななかで『PUBG』に出会いました。
FPSで強くなるための方法は『Counter-Strike:Source』で教えてもらっていたので、それに『PUBG』ならではの動きを覚えて、最初は「楽しめたら」と思ってチームを立ち上げました。
それが「チームGG」。インターネットでメンバーを募集して、大会でもなかなかの成績を収められたので、そのときに「プロになれるかも……」という気持ちが芽生えました。
そんななかでFireMight選手の友人から、「Team Encount(編注:AKIHABARA ENCOUNTの前身)がPUBGのチームを探している」と紹介されたことで、晴れてプロとして活動することになりました。
——ひとつの夢が叶った瞬間ですね。とはいえこれからはプロ選手として、そしてリーダーとしての責務もより大きくなっていくと思います。
大会の選手選考などに関しては、僕の意見を重視させてもらっています。そういう意味では責任重大かもしれません。
ただチームGG時代から常々言っているのは、例えば僕がリーダーだからといって毎回試合に出るかといったらそんなことはなくて、その時々でベストの4人で臨もうということ。
プレーにおけるそれぞれの役割も異なりますから、リーダーとしては個々の強みをしっかり把握して、目標に向かっていきたいと思っています。
——力強いコメント、ありがとうございます。ファンの方々に向けてもお願いします。
PUBGをはじめ、僕はゲームを楽しんでいるので、みなさんもまずは楽しんでください。
「勝ちたい」という感覚にとらわれ過ぎると、せっかくの時間がムダになってしまうこともあります。楽しくなくなったら、一旦ゲームを止めましょう(笑)。
——CroooooiZzy選手の気分転換法は?
ゲームをしないで友人と遊びに行きます。お酒を飲んだり、ボーリングをしたり。ゲームから離れてしばらくするとまたプレーしたくなってくるので、その気持ちを大事にしています。
自ら作り上げたチームが世界と対峙、戦場を駆け抜ける勇姿を見届けたい
小学生のころからFPSに触れており、10年以上のプレー歴を持つCroooooiZzy選手。
様々な大会において好成績を残してきた選手が、「自分で立ち上げたらどんなチームができるんだろう」という気持ちで作ったチームで、今世界を相手に戦っている。
今回のPSSの予選では思うような成績は残せなかったが、DAY4の最終ラウンドで手応えをつかんでいたこともあり、彼の目には光があった。
「決勝に進めたら韓国の会場でプレーできます。ゲームをプレーして海外に行けることなんて、普通の人生では考えられませんから、これもプロゲーマーとしての醍醐味ですね」
5月6日(日)の12時から始まるルーザーズマッチ1は、24チームでその先にある敗者復活戦のルーザーズマッチ2への10枚の切符を争うことになる。取り戻した自信を胸に、ベストを尽くして朗報を届けてほしいと願う。