text by Chaba(Rio Takeno)
edit by GAMEZINE
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近年、注目度が増すeスポーツ業界。しかし、その実態やキャリアパスは未だ不透明な部分も多い。
『GAMEZINE Vol.33』では「eスポーツ職業案内」として、第一線のプロたちが語る「eスポーツを仕事にする」ことのリアルに迫った。
本記事では、誌面で掲載しきれなかった内容を加えた拡大版インタビューをお届け。
株式会社イード(以下、イード)でアニメ事業部・ゲーム事業部で部長を務める宮崎さんの経歴を振り返りながら、ゲームメディア運営で意識していることや、ライターやメディアを志望する人に求められる経験や姿勢についてお話を伺った。
――イードについて教えてください。
イードは、インターネットを活用した企業のマーケティング支援を主軸に、メディア事業、市場調査を行うリサーチ事業、ECシステムを提供するメディアコマース事業を展開しています。メディア事業に関してはWebサイトを中心に、ITや自動車、映画、ゲームなど21ジャンル、82のメディア(2025年9月現在)を運営しています。
――宮崎さんがイードで行っている具体的な業務はなんでしょうか?
Game*Spark、インサイド、GameBusiness.jpというゲームのメディアと、Game*SparkのブランドGame*Spark Publishingで出している3DダンジョンRPG『ウィザードリィ外伝 五つの試練』、FISTBUMPを担当しています。
あとは、アニメのメディアも一緒に担当していて、アニメディアとメガミマガジンという雑誌、アニメ!アニメ!というウェブのメディア、あとBrancっていうアニメ業界向けの媒体があり、そこで、編集や制作関連の話とかにたまに出たり、取材したり、マネジメントをしたりしています。ほとんど広告で成り立っているんですが、営業はほとんどノータッチで、数字など媒体側を見ています。
――どういった経緯でイードに入社されましたか?
本当はゲームを作るか、アニメを作るか、声優になろうと思ったんです。でも、どれもぼくには能力ないなって思って。
声優はもちろんやったことないし、今から事務所とか行ってもそれは無理だろうと。アニメを作れるのかと言われても、絵も描けないし、もちろんシナリオとかも書けない。ゲームもただ好きなだけで作り方とかよくわからないし、専門学校にも行ってない。でも「ゲームとアニメの仕事したいな」っていう思いだけはあって、じーっと考えていたんです。
最初は全然メディアとか考えていなかったんですけど、「記事書くとこならいけんじゃね?」って思ったんです。あと、昔からインターネットが好きで、ネットのメディアをやりたいなっていうのは、ぼんやり思ってましたね。
そんな時にたまたまイードのゲームメディアのひとつのインサイドで「編集のアシスタントを募集します」という求人を見つけて、「勉強がてら入りたいです」と入社しました。
――現在、宮崎さんが働かれているゲーム事業部の体制について教えてください。
ゲーム事業部は、年齢はぼくが1番上くらい。基本的に記事制作とか、メディアの運営といったことに関しては、ほとんど社員を置いていなくて、業務委託の方が多いです。例えば、FISTBUMPの編集をしてもらっている人も、あくまでフリーの編集者で、イードの社員ではないですね。社内にいるのは基本的に営業とか、ビジネス面を担うメンバーだけです。
――社員の方で体制を組まれているイメージでしたが、フリーの方が多くを占めているんですね。FISTBUMPの編集体制についてもお聞かせください。
一応ぼくが大元締めみたいな感じで何となく見ていて、Riot Gamesさんと大事な話をするときはぼくが出ています。
でも、基本的にサイトを回しているのは、記事の公開や編集をする方が2人いて、その下にフリーのライターさんがいるという形です。
――FISTBUMPで働いている方々の特徴はありますか?
みんなやる気がある人ばかりです。あと、めっちゃ若いですね。ライターさんには、学生の子もいれば、長く活躍されている方もいます。
あとは、とにかく『VALORANT』が好き、『リーグ・オブ・レジェンド』が好きだからやりたい、という人が応募してきてくれて、基本的にスタンスとしては誰でもウェルカムです。
――熱意があれば、未経験でもライターとしてチャンスが?
本当に最低限のコミュニケーションが取れることと、あとは本当に好きかどうか。上手い文章とかは別に良いかなと思っていて、「最低限日本語が伝われば良いんじゃないの?」ってぼくはずっと思っています。
――FISTBUMPの運営をする上で、意識していることはなんでしょうか?
無理にこれまでのゲームメディアっぽいことをするのはつまらないので、「なんでもいいよ」というスタンスにしています。
Riot Gamesさんもめちゃくちゃ協力的で、ぼくらの意向を汲んでくれます。炎上していることにもギリギリまで踏み込むとか、普通のオウンドメディアだとこんな自由にはできないですよね。非常にフランクなので、良いメディアができていると思っています。
――これまで宮崎さんが働いてきた中で「やりきったな」と感じたお仕事はありますか?
eスポーツとは関係ないんですけど、Game*Sparkの特集企画です。
2013年に亡くなったゲームクリエイターの飯野賢治氏のドキュメンタリーを撮りたいと思って、小島秀夫氏とか、名だたるゲーム業界の方、あとピエール瀧氏とか浅野忠信氏にそれぞれインタビューして、亡くなった飯野氏がどういう人だったのかをまとめました。あれは自分でも結構よくやったなと思いますし、そこから繋がる人の縁とかもありました。
――クリエイター同士の直接的な繋がりを生み出すことも?
はい。同じような案件で、『仁王2』というゲームが出た時も、そのクリエイターに密着して取材をしたんですが、その時に、とあるクリエイターと『仁王』のクリエイターを会わせたんです。そしたら、そのクリエイター同士が、同じ会社に行って一緒にゲームを作り始めたと聞いて。
これ、めっちゃ良い仕事したなって。本当はそういう機会とか、通常思いつかないこととかをどんどんやっていくのが、メディアの大事な仕事だと思うし、やりがいがあるし、面白い部分だと思いますね。
――そういった自由な発想の企画を実現できるほど、イードは自由な環境なんですね。
めっちゃ自由です。FISTBUMPもやってるし、Game*Sparkもあるし、インサイドもあるし、自分たちでゲームを作ったりもしている。なんとなく他のこともやりながら、好きなこともやるみたいな感じは強いかもしれないですね。ただ、これを自由と捉えるか、自分に対して目を向けてくれないと捉えるかは、個々人で分かれますね。
――その自由な環境で生まれたコンテンツはありますか?
『FISTBUMP』では「本当に熱量の高い人に書いてほしい」という方針でライターを募集しています。最近『LCK(League of Legends Champions Korea)』を追っているえごいすとさんというライターさんが入ってくれて、彼がなんとT1のFaker選手に独占取材してきたんです。大手のメディアで書いているようなライターではないのに。あれは痺れましたね。
――Faker選手への取材も実現するなんてすごいですね!そんな熱量が形になる瞬間があるのもウェブメディアで働く魅力に感じます。他にどんな魅力があると思いますか?
ぼくは、メディアの仕事は「人と人をつなぐこと」だと思っています。読者とメーカーかもしれないし、著名人と著名人かもしれない。今の時代、選手のXや配信を見ていれば、何を考えているかはすぐ分かります。それでもメディアが間に入るのは、その人が”本当は言えない本音”や”やりたいこと”を引き出して、形にできるから。それがメディアで働く1番の魅力だと思いますし、ぼくたちメディアは、橋渡しする存在じゃないと意味がないと思っています。
――ウェブメディアの仕事には、どのような人が向いていると思いますか?
ライターは「こだわりが強い人」、編集は「こだわりがない人」だと思っています。
例えば、ライターをやるんだったら、自分の文章とか、実現したい企画とか、とにかく何かにこだわりを持てることですね。そのシーン、その人だけを追って、突き詰めていくのがライターに求められる素質だと思っています。
でも、それだけだとターゲットがすごく狭くなってしまう。そのため、編集者はその熱量をより多くの人に届けられるようにしていくのが仕事です。編集側にも強いこだわりがあると、ライターとぶつかりますし、届く範囲が狭くなってしまうので、ライターとは逆の素質が求められると思っています。
――メディアを志望する人に向けて、今やっておくべきことと、積んでおくべき経験はありますか?
めっちゃゲームしろ。めっちゃ配信を見ろ。とにかく若いうちは自分の中にたくさんインプットすること。文章力より、特定のゲームや競技シーンへの理解があること、そして好きという気持ちが大事です。
――最後にイードに来てほしい人、どんな人と一緒に働きたいか教えてください。
元気で前向きに取り組める人です。知識やスキルはあれば良いですが、後からでも、どうにでもなる。今はAIがいい感じの日本語を書いてくれるので、他の人との違いは“熱量”や“気持ち”くらいでしか出せないと思います。「頑張ります!」「これ楽しそうなので行ってきます!」っていう、そういう人を待っています。
プロフィール
アニメ事業部・ゲーム事業部で部長を務める。38歳、東京都出身。好きなゲームは『Megabonk』。シューター系のゲームは酔ってしまうため苦手。父親がスーパーファミコンをやっていた影響で、子どもの頃は友達と遊ぶのを断ってゲームをしていた。
会社情報
株式会社イード
設立 :2000年4月28日
代表者 :代表取締役 宮川 洋
本社所在地:東京都中野区本町一丁目32番2号 ハーモニータワー17階
社員数 :272名 ※2025年6月末日現在(アルバイト含む)
事業内容 :メディア事業
(ゲーム・アニメ・自動車・教育など21ジャンル、82のWebメディア運営)
リサーチ事業
メディアコマース事業 など
主な採用職種
- 総合職(プロデューサー)
- アニメ総合情報サイト/映像業界ビジネス情報サイトの編集リーダー
- 学生長期インターン など
▼詳しくはこちらから
https://www.iid.co.jp/recruit/

